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2005年01月18日
初心者相手に1次変換
どちらかというと仕事関係で日記を付けたことがない。とりたてて記録したいことがないのかもしれない。大体カテゴリーに仕事という項目を作ってなかった(笑)。ということで,あまり楽しくない記録をしておくか・・・。
まったくの初心者相手に1次変換を教える,という内容なのだが,これで困っている。あてがわれた教材はあるのだが,これが素晴らしすぎる(苦笑)。こんな感じで始まるのだった。
まず,唐突ですが,定義を先に書いてしまいます。 平面ベクトルの全体から平面ベクトルの全体への写像 f が,さらに次の性質
f(x+y)=f(x)+f(y)
f(ax)=af(x)
をみたすとき,f を線形写像(一次変換)といいます。
数学科ならこれでも良いのかもしれないが,ちょっとこれじゃあ,あんまりだと,さすがに思った。相手は写像の概念すら,きちんとはないのに。おまけに,例題での1次変換の与え方が,基底の像を指定する形なのだ!つまり,こんな感じ。
平面上の1次独立な2つのベクトル a1, a2 に対して,
f(a1)=a1+2a2, f(a2)=-2a1+a2
となる線形写像 f がある。
おいおい,である。ゲームのルールを与えて後は規則に従っていけば数学が理解できるとでも言うのだろうか。一世を風靡した(?) general abstract nonsense ではないが,21世紀にもなろうとしているのに,このブルバキの不肖の末裔め!という感じだ。
ということで,次のような感じでやったみた。考えてみると,1次変換の授業というのは,一回もやったことがなかった(笑)。おい,大丈夫か?
関数の拡張というか,点を点に対応させるものとして,写像というものを定義する。具体例として,x軸に関する対称移動,原点のまわりの90度回転などを挙げる。
平面上での1次変換を(もちろん座標で)定義する。先に挙げた例が1次変換の特別な場合であることを説明。
座標で導入した1次変換の行列表示の説明。行列と縦ベクトルの積をここで定義する。
ここが面倒なところだが,1次変換の合成をやってみる。それと対応する形で行列の積を定義する。
ここらで簡単な練習問題を出す。一つは行列の積を計算すること。これは全員できた。のみこみは速いようだね。よかった,よかった。もう一つは,x |---> (a・x)a という1次変換の行列表示を求めよ,というもの。ここで,泥縄ではあるが,点と位置ベクトルを同一視することを説明(苦笑)。いやあ,準備悪いんで。2番目の問題は案外と難しいみたいだった。でも少しヒントを出すとOK。
恒等変換と単位行列の説明。それから,逆変換と逆行列。ついでに行列式 det(A) の定義も。
逆行列を使った簡単な例題。行列 A で定まる1次変換による正方形 0≦x≦1, 0≦y≦1 の像を求めること。補足として,線形性を利用した,つまりベクトル的に処理した解説もする。像が平行四辺形になることを理解するには,こっちの方が良い。
ここに至ってようやく線形性の説明。ようするに行列の計算では分配法則が成り立つということ。あ,しまった,分配法則の説明をやってなかった(笑)。まあ,しかし,この辺りは大丈夫みたいだった。
ここで時間が来てしまったので,今回はここまで。もう少し時間があれば,線形性を利用した簡単な例題をやりたかったのだが。例えば,一般の平行四辺形が1次変換で平行四辺形に写ることの証明など。まあ,次回にということで。
以上,昨日の授業の記録。
投稿者 sukarabe : 2005年01月18日 08:13
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