« 徹夜明けで会議 | メイン | MTでWiki風の書式が使える »

2005年01月08日

基礎は大切か

昨日,会議中だか食事中だか忘れたが,雑談しているときにNi氏が次のようなことを言っていた。大阪の某S氏が言うには,e=2.718281... の定義だとかいろんな関係式が同値であることを証明させたりすることは必要なのか,そんなことをしても問題を解く力はつかないのではないか,と。はあ・・・そ,そうですか。そうかも知れませんね(苦笑)。

10年前に同じ事を言われたらムキになって反論したかもしれないな。どうなんでしょうか。

mimeTeXのテストも兼ねて数式を書いてみる。e というのは,
eの定義式
で定義される定数(Landauの言い方を真似れば,宇宙定数(笑))のこと。この定義と例えば
eの定義(その2)
が同値であることを示すのは易しくない。しかもそれができたら数学の力がつくかと言われるとたしかにそうかもしれないと思う。S氏の趣旨はおそらく,こういう基礎に関する事柄をやるよりも,もっと実践的な応用問題を解かせる方が良いのではないか,ということだと思う。

しかし,そんなことを言われたら,じゃあどんな問題を解けば数学の力がつくのだろうか,と思ってしまう。他人のことは分からないので自分の経験で言えば,高校生のときは(同級生たちに比べれば)あまり問題を解いてない気がする。たまにおもしろそうな問題のときは頑張って解いたと思うが,どちらかというと問題を解こうという元気はなかった。受験勉強はそれなりにしたと思うが,参考書の例題をながめて,ちょっと考えたらすぐ下の答えを読んで(笑),なるほどね,てな感じだった。

さて上の2つの式が同値であるという問題だが・・・困ったことに高校生のときにおもしろそうに感じる問題というのがこういう種類の問題だったのだ(笑)。だって不思議だもん!あはは。

Ni氏に限らず数学科の普通の感覚だと,こういう基礎の大切さを疑問に思うことの方が不思議で,え?なんでそんなこと聞くの?と思う方が多いかもしれない。もちろん,基礎をすべて理解して使っているとは限らないが。僕にしても分かってないことの方が多いくらいだ。ええと・・・ルベーグ積分(苦笑),スペクトル系列,CW複体,等々。気にはなっているんだけど。ルベーグ積分については最近,溝畑先生の本とボレルの本を読んでいて少しだけだけど,ああそういうことなのか,と分かってきたつもり。スペクトル系列は全然だめ。ヴェイユによるド・ラムの定理の証明で2重複体を利用するのがあるが,あれでいっぱいいっぱいだ。CW複体に至っては定義の意味が分かりませ~ん!包体複体(cell complex)とどう違うんでしょうか・・・。

話を戻すが,思うに,力をつけるには数学をやればよいだけであって,どの問題をとかいうのはあまり考えなくていいのではないのだろうか。食事に例えるのも変ではあるが,大切なことは,まず食べることだ。いちいち栄養があるかとか考えるだろうか。もちろん偏食は薦められないけどね。

投稿者 sukarabe : 2005年01月08日 12:11

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://njet.oops.jp/cgi/mt/mt-tb-alt.cgi/548

コメント

Sukarabeさん、数学の力ってどんな力なの?

投稿者 kebaneco : 2005年01月08日 17:10

さあ。そう正面切って問われると困りますが(笑)。まあ,問題を解く能力の事でしょうかね,この場合は。

投稿者 sukarabe : 2005年01月08日 19:09

ふ~ん、わかったような・わからないような。

金融派生商品(いわゆるデリバティブと呼ばれるものでオプションなど)の価格公式はブラック・ショールズ式といわれるものだけど、それって熱伝導方程式の応用だって聞いたことがある。要は物理で金融の世界にソリューションを提供したわけですよね?

そういった「組み合わせで問題を解く力」ってのも「数学の力」なのかなぁ。そういうのって数をこなせばビルドアップできるもの?それともセンス?または偶然のなせる業?

投稿者 kebaneco : 2005年01月08日 23:10

ふーん,kebanecoさん,難しいこと知ってるんですねえ。ブラック・ショールズの方程式というのは見たことがないんですが,誰かから確率微分方程式(伊藤の方程式)が基本になっているという話を聞いたことがあります。熱伝導の方程式は多分知っていると思うけど・・・ううむ,今度誰かに聞いてみよう・・・って誰が知っているんだろうか(笑)。

投稿者 sukarabe : 2005年01月08日 23:33

ど~も、ききかじり情報満載のkebanecoです。よって固有名詞しか知りません、内容はさっぱりです・・・

ブラック・ショールズ式ってのは1973年にJournal of Political Economy 81 に発表されてます。そのあとガーマンとコルヘーゲンの2人が1983年にこれを拡張してガーマン・コルヘーゲン・モデル(通貨オプションの価格公式)ってのを発表してます。

この種の公式がいつも2人のユニットになってるのって、やっぱり組み合わせの妙は「2人寄って文殊マイナス1の知恵」でやっとこさできた業なのかな?

ちなみに証券会社のアナリストとかファンドマネージャに友人がいれば、そういう人たちが詳しいと思います。

投稿者 kebaneco : 2005年01月09日 00:25

ブラック・ショールズの方程式で、ぐぐっていたら、このサイトに辿り着きました。
これからも、ちょくちょく訪問させていただきます。

投稿者 calc : 2005年02月01日 08:29

calcさん,はじめまして。
すみません,期待はずれで(笑)。
calcさんのサイト見させていただきました。すごいですね,数学だらけだ・・・。さっそくLive Bookmark(RSS Reader)に入れさせていただきました。

投稿者 sukarabe : 2005年02月01日 08:41

コメントしてください

comment spam対策のため,名前とメールの入力が必須になっていますが,メールアドレスは公開されません。Web SiteのURLは任意です。Type Key IDをお持ちの方はType Keyをサイン・インしてくださってもいいです。




保存しますか?