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2006年08月13日(日曜日)

囲碁の本 [ チェス・囲碁など ]

本因坊・高川格
(高川格本因坊)

囲碁の本に限ったことじゃないと思うが、玉石混交だと思う。一番安易なのが「次の一手」の類の問題集。まあ、そういうのにも一定の価値はあるが。

随分前に古書店で見つけた「最新囲碁全書」(全6巻)は、そういう意味では力作だと思う。アマチュア初段もない(多分ね)やつが何をほざくか、という気もするが(苦笑)。最新と言っても昭和29年(1954年)の発行なのだが、内容はそれほど古びていないと思う。

著者は高川格(=本因坊秀格)、木谷實、岩本薫の3人で、2巻ずつ分担している。内容は布石から寄せに至るまでの技術・テクニック全般だが、丁寧な記述で非常に勉強になる。特に第6巻(著者は高川格)が気に入っているのだが、その序文がちょっと変わっていて面白い。

”戦術篇” 第6巻をここに世におくるにあたり著者として一言弁解しなくてはならないことがある。それは本巻が、はじめに著者の意図したものとはかなり異なった体裁のものとなったことである。

全巻をツケコシとかボーシとか、そのような幾つかの手筋に分類し、ひとつひとつの項目に類例を集める。そういうのが最初の予定で、じつはそれで執筆を進めてみたのである。(中略)そのようにして類例をあつめても、それがみな死んでしまうことであった。なにか活き活きとして迫ってくるものがない。いわゆる型だけにすぎないように、すくなくとも自分には思われたのである。

(中略)自分はそこで方針を立て直した。あまりにあれもこれもと欲張ることがいけないのだから、これはどこまでも全局的観点を中心に、じっくりかまえて行こうと考え直したのである。一局の碁をはじめから丹念にしらべたら、そのあいだに本当に活きた手筋や形が必ずや相当に多く現れてくるだろう。それを何局か重ねて行けば恐らく普通の型はひとりでに集まるに違いない。この方法が、迂遠ではあろうけれど、結局一番確実だし、また自分の気持ちにもぴったりするようだ。そう思い直したのである。(後略)

いや、なかなかここまで赤裸々に語れるものではないだろう。後年の回想録「秀格烏鷺うろばなし」を彷彿とさせる語り口であり、著者の真面目な気持ちと正直さが表れている。これでますます高川ファンになってしまう自分も単純なのだが(笑)。

投稿者 sukarabe : 2006年08月13日 07:30

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