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2005年10月28日(金曜日)

3次剰余とガウスの定理 [ 数学 ]

だいぶ前になるが,Silverman-Tateの本(楕円曲線上の有理点)を読んでいたら,ガウスの定理というものが書いてあった。ガウスの名前がつく定理はもちろん沢山あるわけだが,これは知らなかった。その定理はガウスの「数論研究」の第358節にあるという。

第358節は円周等分方程式の章,つまり,例の正17角形の作図が可能であることの証明が書いてある章にある。作図の可能性では2次方程式に還元するのだが,ガウスは3次方程式になる場合など,いろいろな例を調べている。3次の場合に面白い話があるとは知らなかった。うかつだなあ(苦笑)。改めて読んでみると,普通のガウスの和,つまり2次のガウスの和以外にも,3次のガウス和がすでに考察されていることが分かる。 3で割って1余る素数pつまりp=3f+1の場合に,f項周期を考えることにより,次の命題が証明されている。

p\equiv 1 \pmod{3} のとき, 4p4p=a^2+27b^2 (a\equiv 1 \pmod{3}) と一意的に表される。 そして,有限体上での方程式
x^3-y^3\equiv 1 \quad \pmod{p}
の解の個数をNとすれば,
N=p+a-2
となる。

ガウスはもちろん有限体での解の個数という言い方をしていないが,Silverman-Tateと読み比べると,そういうことだと分かる。ガウスの導き方は初等的だがトリッキーな式変形があり,ちょっとつらいなあと感じる箇所がある。その点Siverman-Tateの書き方はずいぶんと整理されていて読みやすい。ただ,Silverman-Tateの方は射影平面で考えているので,無限遠点での解が追加されている。そこだけ注意すれば翻訳は難しくない。

投稿者 sukarabe : 2005年10月28日 09:22

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