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2004年10月09日(土曜日)

鈴木一浩@ヤマハクラッセ新宿 [ オルガン ]

台風22号の暴風雨の中,ヤマハ・クラッセ新宿鈴木一浩オルガン・ライブを聴きに行く。本日仕事だったのだが,会議は約束通り4時すぎに終了,というか台風のせいで,それでなくても皆早く帰宅したがっていた(笑)。時間によってはタクシーと思っていたが,4時半ごろに千駄ヶ谷を出たので,電車で行くことにした。幸い地下鉄の出口(都営新宿線・新宿三丁目駅のC8出口)がクラッセの入っているビルに直結しているので,電車に乗ってからは傘いらずで良かった。

ライブの方は予定通り,5時半に開演。オルガンの鈴木さんと,ギターの山下正(まさし)さんが登場。挨拶もなしに,いきなり弾き始める。おや,めずらしい(笑)。曲は What's Goin' On だが,今回は楽譜(「サウンドイン」シリーズのソウル・アンド・ファンク)に比較的忠実なヴァリエーション。次は,意表をついて(?)スタンダードのSecret Love (鈴木さんの演奏で聴くのは初めて)を,普通に弾くとですね,と始めたのだが・・・。

普通に弾くと・・・と,Secret Loveのテーマを弾き始めるのだが,そのままデュオでの演奏になだれこんでしまう。え?普通に弾くとこんな感じだけど,ここでは,とか言う話じゃなかったのか(笑)。このあとConfirmation, Drive My Car と続く。

実は,今回は,台風のせいで,鈴木さん本人が釧路から来れないのではないか,と心配していた。実際,大変だったようだ。用心して昨日の最終便を予約していたらしいが,なんと飛行機が霧のため釧路空港に着陸できず,最終便が欠航してしまったらしい。それで今朝の臨時便でなんとか東京に来たとのこと。欠航した便が260人乗りなのに臨時便は160人。100人あぶれることになるので,先着順ということで,朝の6時から空港で待つはめになったという話。うーん,大変でしたね。来れなかったらコンサートはキャンセルで,それはそれで後が大変だろうし・・・。

クラッセ新宿は初めてなのだが,新宿の夜景をバックにして素晴らしいロケーションだ。これでベルギービールのシメイロシュフォールがあれば最高なのだが(笑),と思いなら演奏を楽しむ。雨はかなり強く,窓にたたきつけるような感じになってきた。

4曲終わった段階で,初めて山下さんの紹介。ちなみに山下さんは5月のヤマハ銀座のときと似たような服だったが,鈴木さんの方は,なんと白のスーツ。おや,めずらしい,と思っていると,夜景もあるし,ヨン様風にしてみました,とのこと。おもわず客席から笑い声がおこる。つかみはOKだね(笑)。しかし鈴木さん,緊張してるのかなあ,いつもみたいに好き勝手にしゃべる,という感じではなく,かなり抑制している気がする。そういえば,5月と違って,子供連れの人もけっこういる。子供達は手足というか体全体でリズムに乗っていて素直だ(笑)。僕の右隣も小さな女の子だったが,ふと見ると,ちゃんと(?)裏でリズムを取っている。知らないうちに日本もこうなっていたんだねえ~。客層(?)が違うということもないのだろうが,なんとなく手探りという感じ。とはいえ,なんだか知らないうちに,釧路の「なごやか亭」という美味い回転寿司屋の話になってたりする(苦笑)。なごやか亭って,春採のコーチャンフォーの隣り(?)にあるやつかな?たしかにあそこは美味しい。

ソロの Spirit Of Summer を一曲はさんで,再びギターの山下さんとのデュオで,San Juan SunsetPin Stripe を演奏。ここでヴォーカルの土屋知里さんが登場する。昨年夏のライブでのコーラス以来だが,知里さんは鈴木さんとは旧知の仲ということで,まるで漫才コンビのような掛け合いが続く。3人生めば子だくさん,だったっけか。しかし,細部をおぼえていないので省略。

土屋知里さんのヴォーカル入りで,Marlena ShawStreet Walking Woman,それからIsn't She Lovely の2曲。お子さん連れだったようだが,子供達もうれしいよね,母親がこんなに格好良く歌っていると。リード・ヴォーカルを聴くのは初めてだが,なかなかに素晴らしい。大人の雰囲気で(しゃべらなければ・・・),後輩なのに鈴木さんがお姉さんと呼ぶのも,なんとなく分かる(笑)。

再びデュオに戻り,When A Man Loves A Woman (男が女を愛するとき),デオダートSuper Strut (次回作に入るらしい),そして最後は I Wish で一応終了。例によってアンコールがあるのだが,山下さんに「どっちがいい?」とか言ってる。結局ロビンちゃん (Robben-chan) になったのだが,もう一つのキャットって,ジミースミスでおなじみのキャットだろうか。うーん,そっちも聴きたかったな(笑)。よーし,ここはアンコールが終わっても拍手が止まず,しかたなくこっちも弾くことになれば良いのに,と思ったりもするのだが,他のお客さんは礼儀正しく(?),アンコールのロビンちゃんが終わると,素直に(?)というか,お約束なんでしょうか,まさかアンコール2曲はないよな,と思うのでしょうね。僕なら,だだをこねるのだが。

5月のときも思ったのだが,STAGEAになってからオルガンの音が粒だっているというか,良くなったなあと,つくづく感じる。うーむ,欲しくなってきたぞ。困ったなあ,予定では,Motif ES + XK-3 + PK-7 だったのだが(笑)。ポイントは案外リズムだったりする。シンセだと自分であれだけのリズムは組めないし(もちろんシンセの機能不足ではなく,自分の能力とやる気の問題ですけど)。

さて,客入れBGMはブラジル時代のデオダートだったが,帰りのBGMは現在作成中のCDから。What's Goin' On と Robben-chan と聴いていると,みんなどんどん出て行ってしまい,ほとんど最後の2,3人になってしまった。うーん,もうちょっと聴いていたいけど・・・。まあ,来年の3月にはCD出来上がるという話なので,それまでの辛抱ということで。

台風のさなか,ということだったが,とても楽しいライブだった。コンサートというよりはプレイ&トーク,あるいは公開講座という様相を呈していた場面もあった。中でも,Aメロ,Bメロ,イントロ,エンディングと別々のモジュールにしておいて,そのときの気分で,長くしたり短くしたり,自由にできるようになった。やっとこれで普通のことができる,と強調されていたのが印象的だった。今までだと,2小節単位のシークエンスを組むしかなかったので,一旦組んでしまうと,その枠からはみ出して自由に演奏することができなかった。例えば,と,Pin Stripe を弾き始めて,イントロから直接エンディングに行ってしまう演奏は爆笑ものというか,アハハという感じだった。だから皆さんも是非自由に弾きましょうね,というのが鈴木さんの持論なのだ。それから,教室の殻に閉じこもってないで,とも・・・。なかなか出来ないことですけどねえ。

鈴木さんのレコード(CD)にしても,ライブもそうなのだが,ごく普通のバンド,オルガン・バンドとして楽しめるのが,僕が気に入って何度も足を運ぶ理由のひとつだ。うまく表現できないが,エレクトーンの事を全然知らない音楽好きの友人にも安心して薦められる,と言ったら分かってもらえるだろうか。もちろん,選曲やアレンジが自分の好みにあっていることも大きい。こればっかりは主観の問題なので,とやかく言えないのだが,1960年から1980年あたりにかけてのポピュラーやR&Bといった,黄金時代(?)の音楽を中心に,モダンなサウンドとリズムで再構築している,という印象を受ける。そして,本人が本当に気に入っていて,弾きたいから弾いているというのが分かる。自分が気に入った曲を,自分が好きなスタイルで表現する,そのために進化した機能を利用することはあっても,機能に振り回されたりはしない。そう考えると,鈴木さんの演奏スタイルは,エレクトーンとしては,きわめて正統的な,ど真ん中路線だと,個人的には思う。

いかん,つい真面目になってしまった(笑)。鈴木さんのすごいところは,そんなことをかる~くやってしまうことなのだ。少なくともそう見える。それにしても,鈴木さんも,すっかり新機種に慣れたみたいだし,ギターの山下さんとの掛け合いも楽しい。知里さんのヴォーカルもリラックスした大人の雰囲気で素晴らしい。おまけに夜景もきれいだ。この会場は気に入った(笑)。次回もここで,また3人でやってくれると,とても嬉しいな,と,さりげなくリクエストしておこう。アハハ。

投稿者 sukarabe : 2004年10月09日 22:47

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