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2005年11月05日(土曜日)
エジプト分数 [ 数学 ]
何の脈絡もないが,ふと思い出したので,軽い話題を。
小学生の頃に読んだ絵本(?)というか子供向きの図鑑みたいなもので,「図鑑百科・数の世界」というのがあった。たしか矢野健太郎監修とか書いてあったと思う。出版社は小学館かな? ともかく子供向きの気楽な本なのだが,いろいろと楽しい話が載っていた。その中に「エジプト分数」なるものがあった。なんでも古代エジプトでは単位分数(分子が1の分数)が基本というか重要視されていて,一般の分数を単位分数の和で表すことが試みられていたということだった。
そんなのは簡単なことで,例えば,であれば,
とすればよいと,誰でも思うだろう。
ところが古代エジプト人は,分母が異なる単位分数の和で表すことにこだわったらしい。
うーむ,面白いことを考えるものだ。だから,の場合は,
でなくてはならない。こんな感じで,いろんな分数を「分母の異なる単位分数の和で表したもの」が,例のパピルスに記録されているのだそうな。
さて,どうやったらこういう表示ができるのか。ここが面白いところだ。数式で示すことは易しいが,それでは妙味がないし,だいたい小学生には無理だ。次のような解説があったとおもう。
は2個のスイカを5人で分けることと同じである。2個のスイカを,それぞれ3等分すれば,ずつに切り分けられた6個のピースができる。そこで,これを5人に一つずつ配る。この段階で一人あたり個のスイカを得たことになる。
さて,1ピースが残っている。これをさらに5等分する。すると
ずつの5ピースができるから,これを5人に配る。以上で,2個のスイカを5人で均等に分けることができた。一人あたりのスイカの量は,
となったから,これでを単位分数の和に書くことができたことになる。
実際の説明ではスイカを円にたとえて,円を分割する図版などが付いていたので,ずっと分かりやすかったと思う。今の子供達のための,こうした本はあるのだろうか?
投稿者 sukarabe : 2005年11月05日 12:49
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古代エジプトのパピルスにはツタンカーメンやクレオパトラが描かれています。 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2005年11月21日 10:14
コメント
「分母が異なる単位分数の和にこだわった」っていうのを読んで、思い出したことがあります。
古文書の読み方を習っている両親から、ひとつの文書の中で同じ音を表すのに果てしなく違った文字を当ててそれを崩す。そのバリエーションの豊富さで昔の人は教養を争った、と聞いたことを。なんか似てる?と思ってしまいました。
投稿者 kebaneco : 2005年11月05日 16:41
なるほどねえ。同じ内容でも表現を変えるというのは,確かに修辞法(レトリック)の基本かも。そう言えば,日本人の書いた数学の論文(で英語がへたなやつ)は Hence だらけだ,という話がありました(笑)。数学では,どうしても「従って」とか「故に」とか多用しますからねえ。
投稿者 sukarabe : 2005年11月06日 09:30
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