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2005年11月06日(日曜日)

ガウス和に向けた準備(4) [ 数学 ]

(2次の)ガウスの和を(符号を除いて)求める計算例。 pは奇素数とする。 p=2f+1とおき,2つのf項周期
\eta_0=\zeta^1+\zeta^{g^2}+\zeta^{g^4}+\cdots+\zeta^{g^{2f-2}} \\
\eta_1=\zeta^{g}+\zeta^{g^3}+\zeta^{g^5}+\cdots+\zeta^{g^{2f-1}}
を考える。ここでgは modulo p での原始根。 ガウス和とは,\eta_0-\eta_1に他ならない。 計算は,p=4n+1の場合とp=4n+3の場合で少しだけ違う。 具体例で,その違いを見てみよう。

まず,p=4n+3の例として,p=11の場合の計算をしてみる。 原始根としてはg=2がとれる。 g^k (0\leq k \leq 9) の剰余を求めると,
1,2,\quad 4,8,\quad 5,10,\quad 9,7,\quad 3,6
となる。つまり,平方剰余の全体Rと平方非剰余の全体Nは,
R=\left\lbrace 1,4,5,9,3 \right\rbrace, \qquad 
 N=\left\lbrace 2,8,10,7,6 \right\rbrace
である。すると,
\eta_0=\sum_{\lambda\in R}\zeta^{\lambda}, \qquad 
 \eta_1=\sum_{\lambda\in N}\zeta^{\lambda}

まず
\eta_0+\eta_1=\zeta^1+\zeta^2+\cdots+\zeta^{10}=-1
は明らか。次に,前回導入した\eta^{(\nu)}なる記号を用いると, \eta_0\eta_1の計算は次のようになる。
\eta_0\eta_1=\eta^{(1+2)}+\eta^{(1+8)}+\eta^{(1+10)}+\eta^{(1+7)}+\eta^{(1+6)}\\
=\eta^{(3)}+\eta^{(9)}+\eta^{(11)}+\eta^{(8)}+\eta^{(7)} \\
=\eta_0+\eta_0+5+\eta_1+\eta_1 \\
=5+2\eta_0+2\eta_1
ここで注目すべきは,展開したときに\zeta^{p}=\zeta^{11}=1の項が現れることである。 これがp=4n+3の場合の特徴。 また,\eta_0\eta_1の係数は等しくなるが,これはどんなpでも成り立つ事柄。 そのことは,直接示すこともできるし,あるいは,\eta_0\eta_1が根の変換に対して不変であることから明らか(ガロア理論)ということもできる。 まあ,計算主体でやっている趣旨から言えば,直接的な証明の方が良いだろうが。

ともかく,
\eta_0\eta_1=5+2(\eta_0+\eta_1)=5+2(-1)=3
となるので,\eta_0, \eta_1
x^2+x+3=0
の根,つまり x=\frac{-1\pm\sqrt{11}i}{2} となる。 以上で,p=11の場合のガウスの和が,
\eta_0-\eta_1=\pm\sqrt{11}i
と符号を除いて求められた。

投稿者 sukarabe : 2005年11月06日 08:35

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