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2006年09月13日(水曜日)

「連続群論入門」は良い! [ 数学 ]

こんなことならもっと早く読んでおけば良かった(苦笑)、と、山内・杉浦「連続群論入門」を読みながら思う、orz... まあ興味がないときに無理やり読んでも結局は身に付かないだろうから、早い遅いに関係なく、興味が出てきたときに読むのが一番ではあるが。

まだ第2章の「回転群とその表現」あたりなのだが、それでもいろんな人がほめている事柄がなるほどなあ、とやっと思えるようになった(笑)。線型代数、微分積分、多様体といった教養から学部3年ぐらいまでに学ぶことの格好の応用になっていることが良く分かる。そう思えるのは、SO(3)とSU(2)について具体的に詳しく説明してあるからだ。それに、所々に杉浦先生らしいなあ、と感じる解説があり、楽しい。例えば、62ページには、SU(2)の既約表現をすべて求めることと、完全可約の証明についての方針が書いてある。

・・・ このような表現の完全性と表現の完全可約性の証明は表現論の最も重要な論点である。この問題を論ずるのに、全く異なる二通りの方法がある。一つはリー環の表現論によるいわば微分的な方法で、一つは群上の不変積分を用いる積分的方法であり、それぞれ E. Cartan および H. Weyl によって発展させられたものである。この二つの方法は、いずれも非常に興味深いもので、リー群論の最も特長的な論法を示すものであるから、結果の重複をいとわず次節以下で、これを詳しく述べることにする。われわれがここで直接論ずるのは SU(2) または SO(3) という特別な群であるが、ここにおいて論点の本質的な部分は残りなく現われるのであって、一般の (コンパクト半単純リー群の) 場合にも複雑にはなるがほとんど同じ線に沿った議論が成り立つのである。

うーん、思わずこの先を読んでみたいと思ってしまうよねえ(笑)。

投稿者 sukarabe : 2006年09月13日 09:02

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コメント

この本を心から良い本と言うには、ある程度代数・幾何・解析に関する知識と経験を見に付けないと出てこないコメントかと思います。

私の場合、岩波数学辞典 第3版 の 位相群、リー群、リー代数、ユニタリ表現、表現論、コンパクト群の項目を何回も読み返し、一般論の概要が見えはじめたときに、この本を最後まで読み通せるような気がしてきました。それまでは、挫折の連続。

私も9月中に読みたいと思います。

投稿者 calc : 2006年09月13日 22:23

 お久しぶりです。EROICAです。
 「連続群論入門」。有名な本ですよね。私は、図書館でしか眺めたことがありませんが。
 そんなに良い本なら、私も読んでみようかな、という思いがした、この投稿でした。

投稿者 EROICA : 2006年09月25日 13:48

>EROICAさん

実のところ、表現論というものには長い間興味をもてませんでした。今も、表現論自体の面白さは分からないのですが、この本は回転群を中心として具体的な計算がかなりあり、それが一般論と意外なつながりがあったりして、不思議な楽しさを感じています。SU(2)は実4次元ユークリッド空間での単位(超)球面とdiffeoなのですが、それからHaar測度の計算をしたり、となかなか面白いです。こればっかりは誰でも楽しめるかわからないですけど・・・。

投稿者 sukarabe : 2006年09月25日 22:20

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