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2006年10月11日(水曜日)

囲碁名勝負物語 [ チェス・囲碁など ]

囲碁名勝負物語(安永一、時事通信社)

先月実家に帰ったときに、この安永一「囲碁名勝負物語」を持ち帰って来た。碁打ちと囲碁界についてのエピソードを交え、有名な対局をけっこう詳しく解説してある。

前半に、近世囲碁通史として、江戸時代から明治・大正と、日本棋院ができるまでのあらましが書いてあるが、後半の歴代名勝負がメイン。全部で15局載っているが、元が新聞の連載記事だったらしく、見開き2ページ単位で棋譜も読みやすい。著者の安永一(やすながはじめ)氏は、アマチュアながらプロも一目置くという囲碁界の名物だった人物。あたりさわりない書き方ではなく、過去の名人の手にたいしても、「この手はぬるい」などと忌憚ない書きっぷりで、なかなかに新鮮。

本因坊秀栄名人の代表譜として、明治28年12月の田村保寿(後の本因坊秀哉)戦が載せてあるが、これが有名な「三子捨ての妙手」の棋譜。白92で取られている二目をさらに三目にして捨てるのであるが、なるほど、これは素晴しい。安永さんの書きっぷりも楽しい。

白92の出。「何かお間違えではありませんか。秀栄先生、その白の二目は取られているのではないんですか」と半畳が入るかもしれないが、さにあらず、これこそ石の働きに対しては神の如しと言われた名人秀栄の真髄を浮き彫りにした秘剣。音もなく秀栄の指の先からスルリとすべって石がこの92のカナメに向かって落とされたのだ。

こんな調子だから、内容が少々難しくても楽しく読めてしまうのだった。

投稿者 sukarabe : 2006年10月11日 17:04

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