8月 1, 2008

酒井孝一「整数論講義」(宝文館出版)

酒井孝一 整数論講義 宝文館出版

先日 Amazon のマーケット・プレイスで見つけて購入したのがこの本。少し前に神保町の明倫館で見つけて、かなり心を動かされたのだが、あまりな値段に少々ムッとして買わなかった。あこぎとは言わないが、あんまりだ(笑)。ぱっと見た段階で、自分が欲しいのはこういう本だと思ったのだけど。まあ、整理されたのを読むより、自分なりに整理して、こういう形にまとめるのが勉強としては良いかなとも、ちょっと思ったのも見送った一つの理由なんだけどね 😉 。

でも、マーケット・プレイスでまずまず許容できる値段で出ていたので、思わずポチッとクリックしてしまった(苦笑)。手にとって読んでみると、正にこういう本を求めていたのだ、と感じる。内容は高木貞治の「初等整数論講義」を現代風というか、まあ、ファン・デア・ヴェルデン風のモダーンな感じにしたもの。この程度に抽象的に書かれる方が、かえって分かりやすい。それに、具体例も多く、アルゴリズム的要素もきちんとあり、具体的な計算をどうすれば良いか、分かるように書いてある。ワタシに理解できるというか、受け入れ易いのは、このレベルだなあ、と思う。もっと抽象度が上がると、理解はできても、心理的に嫌な感じになる。同じ内容であっても、完全系列とか、群のコホモロジー(例えばヒルベルトのSatz 90) とか言われると、うーむ、勘弁してくれ(笑)という気持ち。記述も丁寧で嬉しい。序文に「高校生でも読み始められるようにとの意図をもって書いた」とあるが、確かにこれなら高校生でも読めると思う。というか、そのレベルでないと読めない我が身が情けないのではあるが。

惜しむらくは「種の理論」がない。まあ、指標系も心理的障壁を越えたから、こっちは、藤原松三郎などで補おうかな。(高木貞治の本では、類体論との関係で、さかさまに種の理論を展開している。平方類で割ったものを種と定義して、それが指標で定まることが最後の結論になっているのだが、この流儀はあまり好みではないので・・・。)