晏子(あんし)君を諫む

漢文、細々とではありますが、続いています :mrgreen: 。文法はすっかり諦めて 😉 もっぱら短い文章の書き下し文を読んでいるだけなんですけどね。

岩波全書の「漢文入門」このところ、またこれに戻って、あちこち拾い読みしてます。最近のお気に入り(?)は、短文編の5番目「晏子諫君」です。出典は「説苑(ぜいえん)」という説教くさい(?)もとい、教訓的な話をまとめたもの。主人公は晏子(あんし)です。

晏嬰 – Wikipedia

君主の景公(けいこう)が、お気に入りの馬を死なせたしまった家臣を殺そうとするのですが、晏子がうまく諌めるという話です。圉人(ぎょじん、馬の世話をする係の役名のようです)は自分の罪を知らずに死んでいくので、自分がどんな罪を犯して死ぬのかを私が言い聞かせましょう、と景公に進言します。よし、やってみせい、というわけですが、その後が面白いのでした。

「お前は、殿の為に馬を養っていたのに、死なせてしまった。これは死に値するのだ。お前は殿に馬のことでお前を殺させるのだ。これは死に値するのだ。お前は殿に馬のことでお前を殺させ、それは近隣の諸侯に知れ渡るのだ。これは死に値する罪なのだ」

えー、適当訳ですが、大体こんな感じですかね。さすがに殿様の景公も、そこまでバカじゃないようで(実は相当のおバカさんらしいのですが :mrgreen: )、たまらず止めに入ります。

「先生、この男を許してやりなさい。先生、この男を許してやりなさい。わが仁徳を傷つけてはならんのじゃ」

原文は次の通りです。

景公有馬、其圉人殺之、公怒援戈、將自撃之、晏子曰、此不知其罪而死、臣請爲君數之、令知其罪而殺之、公曰、諾、晏子擧戈而臨之曰、汝爲吾君養馬而殺之、而罪當死、汝使吾君以馬之故殺圉人、而罪又當死、汝使吾君以馬故殺人、聞於四隣諸侯、汝罪又當死、公曰、夫子釋之、夫子釋之、勿傷我仁也、(『説苑』正諫 )

景公(けいこう)馬有り、其の圉人(ぎょじん)之を殺す(死なせるという意味)。公怒り戈(ほこ)をとりて、まさに自らこれを撃たんとす。
晏子(あんし)いわく、此(これ)その罪を知らずして死す、臣請う君の爲にこれをせめ、その罪を知らしめてこれを殺さん。
公いわく、『諾(だく、了承したという意味ですね)』と。
晏子戈(ほこ)をあげてこれに臨んでいわく、『汝(なんじ)わが君の為に馬を養いてこれを殺す、而(なんじ)の罪死にあたる。汝(なんじ)わが君をして馬を以ての故に圉人(ぎょじん)を殺さしむ、而(なんじ)の罪また死にあたる、汝(なんじ)わが君をして馬を以ての故に人を殺し、四隣(しりん)の諸侯に聞えしむ、汝の罪また死に當る』と。
公いわく、『夫子(ふうし)これを釋(ゆる)せ、夫子これをゆるせ、わが仁を傷つくること勿(な)かれ』と。

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