鈴木一浩「オルガンマニア#2 リズマチック」

鈴木一浩「オルガンマニア2 リズマチック」(Suzuki Kazuhiro ORGAN MANIA II Rhythmatic) CDジャケット(表) CADUC-702
鈴木一浩「オルガンマニア2 リズマチック」(Suzuki Kazuhiro ORGAN MANIA II Rhythmatic) CDジャケット(裏) CADUC-702

待望の鈴木一浩さんセカンドアルバム Organ Mania #2 Rhythmatic は25日に発売され、はからずも素晴らしいクリスマス・プレゼントとなった。とてもリッチでゴージャスなサウンドに仕上がっている。スタジオ録音なので音は凝縮して粒立っているのだが、ライブ・ハウスにいるようなリラックスした感覚と暖かいサウンドも併せ持っている。久し振りに、聴きながらゾクゾクっとする感覚を味わった。オルガンは例によって、Acetone GT-7, Acetone Top-1, Hammond L-112, それにYamaha ELS-01Cが使われているとのこと。メインは当然ながら GT-7 だ。

1曲目はソウルの名曲 What’s Going On。イントロはオルガン・ソロで始まり、リズムボックスが加わると何処かのラウンジに居るような錯覚に陥る。次いでドラムとギター、ベース、さらにサキソフォーンがさりげなく絡んでいく。そう言えば、いつぞや(2004年10月6日)のヤマハ新宿クラッセでの「台風」ライブのときも、こんなメローな感じで始まったなあ。残響というか音場の雰囲気が、どことなくLPっぽくて良い。台風ライブのときにライブ後にかかっていたラフのCD録音に比べると、サックスが入っている分、後半のアレンジが大分変わったように思う。前のバージョンも良かったんだが。

2曲目は一転してコンプレッサーの効いた乾いたオルガンと重たいベースで、ビートルズ・ナンバーの Drive My Car。文句なくかっこいいです。何故かブツっと終わって 😯 次の Robben Chan になだれ込むのだが、これは演出?

3曲目の Robben Chan (ロビンちゃん)は鈴木さんのオリジナルだが、とっても楽しい曲。初めて聴いたのは2003年8月30日、31日の横浜&東京でのライブのアンコールとしてだったが、それ以来大好きな曲。なんでも、ギタリストの Robben Ford が大好きで作ったということだ。Fのブルースなので、楽譜も弾きやすいと期待しているのだが、果たして。最近のバージョンでは、途中から一転してリズム難しくなっちゃうのだが、これも楽譜になっちゃうのだろうか?

4曲目の La Nona Rica も鈴木さんのオリジナル。曲名は家族の頭文字を並べたもので特に意味はないらしい。しっとりとした曲想で、作曲家としての才能を感じさせる作品。ライブで何度も聴いているのだが、段々と好きになってくる。サキソフォーンがよくマッチすると思う。

ここまでが、LPで言えばA面ということらしい。アナログ的な音作りといい、アルバム・コンセプトといい、どうやらLPレコード作りたかった風なのである。

ということで、次はB面の1曲目なのだが、いきなりリズムボックスがポカバカと鳴ってスタート(笑)。ドゥービー・ブラザーズの大ヒット曲、What A Fool Believes だ。正直、ヒットしていた頃は大して好きじゃなかったが、こうして聴いてみると楽しい曲である。オルガンも、ハモンドのパーカッションを生かした可愛らしい音をフィーチャー、後半、土屋映里子さんのヴォーカルがさりげなくかぶってくるのも、嬉しいサプライズ。
[tegaki] But what a fool believes he sees 〜[/tegaki]
[tegaki] No wise man has the power to reason away 〜[/tegaki]

B面2曲目は、Eumir Deodatoのモダンでカッコイイ曲、Super Strut なのであるが、これがまたカッコイイ演奏なのである。こういう演奏はリズム感がないと・・・というわけなので、楽譜が出てもワタシには関係ないのである。残念。デオダートにはこの曲や Skyscrapers といった所謂カッコイイ曲もあるが、自分で弾けそうなのは、カーリーとキャロルとかサンファンサンセットとか、そっちの系列。

さてさて、最後の曲は鈴木さんが大好きだという Booker T. Jones の Last Tango in Memphis であるが、ワタシこの曲ちょっと苦手なのである。というか、このドロッとした感じは嫌いじゃないのだが、ゆっくり目のテンポが。自宅でゆっくりベルギービールを飲みながらなら良いが、電車の中で iPod で聴くことはできない。仕事に行く気がしなくなっちゃうよ(笑)。ということで、これだけは自宅でゆっくりと聴きたい曲。

こうして7曲聴いていると、緩急のバランスといい、ライブの一セットを聴いているような感覚。とても心地良い。できれば暖炉のある部屋で聴きたいものだが、ないものねだりだなあ。

“鈴木一浩「オルガンマニア#2 リズマチック」” への2件の返信

  1. すばらしい感想ありがとうさんです!とても参考になります、一番の理解者かも。今回は自分のプレイの技術が年齢と共に下がった分若いサックスのフレッシュなプレイとギターの老練なテクニックでカバーしました(笑)、逆に自分のエンジニアとしての録音技術はかなりグレードアップしたと思います。ロビンは楽譜では8小節だけ早くなります・・多分

  2. >kazuさん

    レヴューみたいなことはできないので,つたないものですが感じたままの印象などをそのまま書いてみました。録音エンジニアとしてグレードアップされたというのは,聴いていても感じます。最初のフレーズから,おおすげぇ〜と鳥肌立ちましたです(笑)。音の立体感というか色彩感が多彩でステキです。楽譜は・・・自分でショートバージョンとかできるような形態,つまりシークエンス使わなくてもそれなりに弾けるようになっていると嬉しいです。(早く見たいので)校正手伝いましょうか?(爆)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。