楕円関数の話(1)


メモを兼ねて,楕円関数の話を少しずつ。

Jacobi(ヤコビ)によれば,楕円関数の誕生日は1751年12月23日だという。
この日,Euler(オイラー)はベルリン学士院から送られてきたFagnano(ファニャーノ)の論文集を読むのだが,
これに触発されて楕円積分に関するEulerの研究がスタートすることになる。

Fagnanoの研究はレムニスケートの弧長に関するものであった。
レムニスケート
\[ (x^2+y^2)^2=x^2-y^2 \]
の第1象限の部分に点Pをとり,原点OからPまでの弧長を$s$とし,
線分OPの長さを$r$とする。すると,
\[ s=\int_{0}^{r} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \]
という関係式が成り立つ。
さてFagnanoは1718年に次の事実を発見する。弧OPの長さが弧OQの長さの2倍になるような点Qをとり,線分OQの長さを$u$とする。
弧長が2倍であるということから,
\[ \int_{0}^{r} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}}=2\int_{0}^{u} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \]
となるが,このとき,$r$と$u$の間に,
\[ r=\frac{2u\sqrt{1-u^4}}{1+u^4} \]
なる関係式が成り立つのである。
今の目で見ると,これは楕円関数の倍角公式を与えているのであるが,
当時の人にそれが分かるはずもなく,
Eulerがその重要性に気付くまで特に注目されずにいたようなのであった。

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