妥協

楕円積分の逆関数として楕円関数を導入しようとすると、基礎の部分、例えば逆関数が実際に一価の関数として定まることなどの証明が存外難しい。ということで、妥協策。

とりあえず、母数$k$が 0と1の間にある実数の場合に楕円積分
\[ \int_0^x \frac{dx}{\sqrt{(1-x^2)(1-k^2x^2)}} \]
の逆関数としてヤコビの楕円関数$\mathrm{sn}(z)$を導入する。
そうすると、シュワルツによって上半平面がこの楕円積分によって長方形に等角写像されるから、鏡像の原理も使えば、逆関数の一価性と周期性、さらに2位の楕円関数であることが言える。

こうして、しばらくは$k$を実数として理論を展開しておいて、テータ関数まで話を進めて、そこで一般に$k$を複素数にすれば、一般の楕円関数に拡張することができる。確かに迂回作戦であり、せこい気もするが、考えてみれば三角関数や指数関数だって最初は実数で定義され、テイラー展開まで進んできてから複素数の関数として定義し直されするわけだから、これだって似たようなものだとは言える。いや、ちょっとは不満なんだけど 😉 。

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