ペンクリニック@日本橋三越

ペンクリニック@日本橋三越

セーラー万年筆の長原さん親子による万年筆クリニックです。

[ 帰宅後に追記 ]
日本橋三越で「第10回世界の万年筆祭り」という催し物をやっていて、その一環でセーラーやパイロットという万年筆会社が万年筆クリニック(ペンクリニック)を開いているのです。パイロットは自社製品に限るということですが、セーラーは太っ腹です。何処のメーカーの万年筆でもOKなのです。おまけに、修理にかかる部品の実費は別として、基本的には無料なのです。帰宅して思うのですが、何というか、申し訳ない気持ちです。今回は長原宣義さんと長原幸夫さんのお二人が、ペンドクターとしていらしていました。

うかつにも知らなかったのですが、長原宣義(ながはらのぶよし)氏は、万年筆の神様としてつとに有名であったようでした。セーラーのサイトには、ペンドクター 長原幸夫さんとあったので、てっきりお一人と思っていたので、驚きました。あれ?二人?しかも、名字同じだよ、と。万年筆クリニックは申し込んで順番待ちです。お二人のどちらになるかは確率1/2というわけですが、長原宣義さんに見て頂けることになりました。お話しているうちに、幸夫さんが息子さんであることを知りました。自慢の息子だとおっしゃってました :mrgreen:

さて、今ひとつインクの出が良くなく、書き味もどうも、ということで出番のなかった Parker 75 のMニブを取り出してお願いしましたが、あっという間に見違えるような書き味になってしまいました。ペン先は長原宣義さんが独自に開発されたらしい、いわゆる長刀研ぎのようです(多分)。角度によってさまざまな太さになる、とっても不思議なペン先なのです。パーカー75、いい万年筆だし、もう部品も手に入らないから、大切に使いなさいよ、とアドバイスされます。これから出番が増えると思います。使っているうちにインクが漏れる件も相談したのですが、どうやら手の熱でコンバーター内の空気が暖められるのが原因のようです。銀は熱伝導が良すぎるということですね。カートリッジだとインク漏れしないので、戻そうかな。でも、ペリカンの青インクが気に入っているので、それを使うにはコンバータしかないんですよねえ。困ったなあ。

ホントは一人一本なのですが、大して時間もかからなかったので、恐る恐る「一人一本だけなんですよねえ」と尋ねてみると、いいから出しなさい、と望外の返事です :mrgreen: 。一瞬だけですが、間が良いことに順番待ちの人がほんのわずかだったからかもしれません。ということで、以前、フルハルターで委託販売か何か、詳しい事情は忘れましたが、ペン先が柔らかいからということで購入した、ダンヒルのモンブランを出します。Dunhillから発売されているのですが、中身はモンブラン製です。OEMということでしょうか。こっちは少々難物だったようです。ペン先を引き抜き、中の軸にナイフを入れたり、かなりの手間がかかります。作業しながらいろいろとお話を聞かせて下さるのですが、これがとても興味深いお話なのです。このタイプのモンブランのペン先は一世を風靡したものらしく、これでモンブランは大きくなったそうなのです。ふーん、知らないことっていっぱいありますね。

Parker 75 Sterling Silver (格子模様) & DunhillのMont Blanc

これで使える万年筆が一気に2本も増えて、嬉しいやら、どれで書こうか迷って困るやら、いやあ、嬉しいです。ペン先に力を入れずとも、ペンの重力だけでインクがすらすらと出来来て、とても心地良いのです。滑らかなのですが、ぬらーっとした滑らかさではなく、わずかに引っ掛かる感じが、これまた絶妙なのです。うーん、恐るべき職人技です。いや、今日はわざわざ日本橋まで出撃した甲斐がありました。技術もさることながら、お人柄にも惚れました。用が無くても、わざわざ行ってお話したい、とってもステキなおじいちゃんなのです。

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