朝三暮四

首相が朝令暮改と勘違いしていたとかで話題(?)になっている四字熟語 :mrgreen: 。実は、国会中継をテレビで観ていたのであった。あれまあ、とも思ったが、実はワタシも数年前までは良くは分かっていなかった。言葉自体は聞いたことあったし、朝令暮改とは別であることも分かっていたが、その程度。意味まではきちんと知らなかった。漢文の本を買うようになって、改めて勉強したような次第であったのだ。そういうわけなので、別に知らなくたって良いじゃないかと、擁護したい気分なのである。

むしろ、質問している議員の話しぶりの方が嫌いだった。すっごく嫌味な、あてこするようなしゃべり方。

それはともかく、朝三暮四。列子にある話。まず、原文。

宋有狙公者。愛狙養之成群。能解狙之意、狙亦得公之心。損其家口、充狙之欲。俄而匱焉。將限其食。恐眾狙之不馴于己也。先誑之曰『與若芧、朝三而暮四、足乎』、眾狙皆起而怒。俄而曰『與若芧、朝四而暮三、足乎』眾狙皆伏而喜。

次に、書き下し文。

宋に狙公(そこう)なる者有り。狙(そ)を愛し、之を養って羣(むれ)を成す。
能く狙の意を解し、狙も亦(また)公の心を得たり。
其の家口(かこう)を損(へら)して、狙の欲を充せり。
俄(にわか)にして匱(とぼ)し。
将(まさ)に其の食を限らんとす。
衆狙(しゅうそ)の己に馴れざるを恐るるや、
先ず之を誑(たぶら)かして曰はく、
「若(なんじ)に茅(しょ)を与えんに、朝に三にして暮に四にせん。足らんか」と。
衆狙皆起って怒る。俄にして曰はく、
「若に茅を与えんに、朝に四にして暮に三にせん。足らんか」と。
衆狙皆伏して喜ぶ。

大意は次の通りで良いのだろう。「ある人が猿を群れで飼っていたのだが、急に貧しくなってしまった。そこで、餌を減らそうと思い、まず、トチの実を朝に3個、夕方に4個でどうだと猿に持ちかける。猿は皆で大いに怒った。そこで、じゃあ、朝4個、夕方3個にしようと提案する。すると、猿は皆で喜んだ。」

実のところ、猿を笑えないのであった。自分の行動、仕事の仕方、つらつら考えるに、おお、我のことであったか!と嘆息するのである(苦笑)。

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