LaTeXで漢文

年年歳歳花相似、歳歳年年人不同

高校の教科書や先日買った大修館書店の「漢文名作選」シリーズは字が大きくて気分が良いが、それ以外は総じて本文の文字サイズが小さく物足りない。そこで、大きく印刷してはどうだろうか、というわけである。

こういうときに頼りになるのが組版ソフトのTeX/LaTeXである。数学の文書で本領を発揮するソフトではあるが、数式がなくても、というか、普通のワープロとしても優秀なのは言うまでもない。漢文の返り点などは、それ専用にマクロを作る必要があるが、検索してみると、既にいくつか開発されているではないか。素晴らしい :mrgreen: 。今回は藤田眞作さん作成のマクロパッケージを利用させてもらい、実験してみた。ソースコードは次の通り。

\documentclass{tarticle}
\usepackage{sfkanbun}
\usepackage{jdkintou}
\usepackage{utf}

\begin{document}

\begin{kanshi}
\noindent
年年歳歳花
\kundoku{相}{あい}{}{}
\kundoku{似}{}{タリ}{} \\
歳歳年年人
\kundoku{不}{}{}{レ}
\kundoku{同}{}{ジカラ}{}
\end{kanshi} 

\end{document}

「史記」と「十八史略」

「史記 中(漢楚篇)」(朝日選書) & 「十八史略精釈」(加藤中道館)

先に書いた「漢文名作選2 歴史」にも項羽と劉邦の話はかなり詳しく載っていて、もちろんそれらは司馬遷の「史記」なのだが、そうなると「史記」そのものを読みたくなるのが人情というもの。ということで、ついでに買ってきたのが朝日選書の「史記」。全部で3冊あるうち、真ん中の「漢楚篇」だけというのがいかにも中途半端だが、とりあえず読みたい所を。「史記」の日本語訳はいくつかあるみたいだが、この本は原文(白文)と訓読(書き下し文)もついていて、漢文を読みたいという欲求にも応えてくれる。文字が小さいのが難点だが、この小冊子にこれだけの内容なのだから致し方ない。

歴史といえば、高校生の頃に買うだけ買った「十八史略精釈」という本を実家から持ってきていたのだった。文法詳解などと付いているから学習参考書の類なのだが、古文漢文苦手の高校生には荷が重かったに違いなく、見てみると、最初の方にしか読んだ形跡がない(笑)。というか、最初の方はあまり面白くないってば。項羽と劉邦のあたりを読めば少しは面白かっただろうに。学習参考書らしく、原文(レ点、一二点など付き)、その下に書き下し文、そして現代語訳、文法、参考事項など詳しく、けっこう楽しい。

いまさら言っても詮無いことではあるが、漢文、世界史と別々の物としてではなく、「古代中国の歴史および漢文」という形、あるいは「司馬遷の史記を読む」でも良い、とにかく内容的にまとまった形で提示してくれれば、もう少しは面白がって勉強したのではないだろうか、と思う。ま、老後の楽しみに取っておいたと考えれば良いか :mrgreen:

漢文名作選

漢文名作選(大修館書店)

高校生のときにさぼった分を取り戻そうというわけではないが、何故か漢文、そして中国の歴史や故事成語などが読みたくなっている。本屋では数学以上に肩身の狭い思いをしているらしきこの分野だが、さすがジュンク堂、品揃えは豊富です。しかし、そのジュンク堂にしてこの程度かあと、ちょっと寂しい気持ち。

いささか教科書的ではあるのだが、大修館書店から漢文名作選というシリーズ物が出ていて、こういうのが欲しかったんだよね、と我が意を得た気分。第1集が5冊、第2集が6冊、計11冊出ている。とりあえず、項羽と劉邦の有名な話が載っている「歴史」の巻と、「文章」の巻、それから第2集から「故事成語」の巻を購入。字が大きくて気持ちが良い。一人部屋にこもって書き下し文(訓読)を声に出して読んでみる。まるで受験生のようですね(笑)。でも気持ち良い。漢文のリズムというか韻律というか、どことなくバッハをイメージさせて、自分の中では正に古典、クラシックという感じがするのである。

漢文勉強したいのですが

漢文というか中国の古典(史記とか十八史略とか論語とか・・・)、さわりだけでも良いから鑑賞したいなあと、この頃思う。学生時代はろくに勉強しなかったのだが、それでもいくつかの例文「えんじゃく いずくんぞ こうこくのこころざしをしらんや」とか頭に残っている。リズミカルで読んでいて楽しくはあった。音楽みたいな感じ。でも勉強としては楽しくなかった。ということで高一の時点で古文漢文は完全にドロップアウトだったなあ。

本屋でいろいろ探すのだが、適当なのが存外見つからなくてね、これが。漢詩の本はそれなりにあるのだが。むしろ高校の教科書が良いかも。いまさら教科書なんか・・・とも思うが、いくつか眺めてみると、へえ、最近の教科書はこんなに親切なのかあ~、と、ちょっと驚く。詳しい解説がないのが残念だが、いわゆる教科書ガイドとセットでそろえるとか。

藺草ずきん

ふと、子供の頃に読んだイギリスの昔話のことが気になって調べてみた。末娘が「肉に塩がなくてはならないように」父親のことを大切に思っていると言って父の怒りを買い、家から追い出されるという話。そう言えばリア王でも似たような設定があったような、とか。

どうやら「藺草(いぐさ)ずきん」あるいは「いぐさのかさ」と訳されているイギリスの古い民話のようだった。Cap O’ Rushes というのが原題。岩波文庫の「イギリス民話集」に収録されていたので改めて読んでみたが、何というか、ベタな展開で思わず笑ってしまった。シンデレラ的要素もあるが、これでは賢い(かしこい)というよりは、むしろ賢しい(さかしい)のではないかと。

原文は
English Fairy Tales – Cap O’ Rushes (by Joseph Jacobs)

で読める。

徒然草

「方丈記・徒然草・歎異抄」小学館・日本の古典をよむ(14)

小学館から「日本の古典をよむ」というシリーズが出版されている。キャッチフレーズは「原文の魅力をそのままに、あらすじと現代語訳付き原文で、すらすらよめる新編集」ということらしい。先日書店で見かけて、ふーんと思いながら、徒然草が収録されている分冊を購入してみた。

どうやら、既存の「日本古典文学全集」の内容を再編集してある模様。小学館の古典文学全集は、頭注に加えて現代語訳を下段に配した3段組で、なかなか読みやすいのだ。それをもっと手軽にという趣旨だろう。お手軽という趣旨で、全部は収録されておらず、有名な話を中心に編集してある。「仁和寺にある法師」など教科書で読んだことがあるので、なつかしいなあと思いつつパラパラと読んでいる。

別に活字に飢えているわけでもないが、何かしら読みたい欲求は強い。いまさら古典を極めようなどとは毛頭考えないが、徒然草などは今で言えばブログ的で、なかなか楽しめる。