数学

楕円コンパスをJAVAで実現した楽しいページ

ふと思い出して、楕円コンパスって今でも売っているのかなあと、検索していたら、こんなのを見つけた。

■楕円の作図(楕円コンパスの原理)

自分には作れないのがちょっと悔しいけど、JAVAのプログラムが組めると、こういうものをネットにアップできるんだなあ。JAVA Applet を読み込むのに少し時間がかかるけど、一度読み込んでしまえば、あとの動きは軽快。こうやって、アニメーションというか、実際に動きが見えると楽しい。


楕円になることの証明は難しくない。上のページの記号で、$P(x,y)$, $AP=a$, $BP=b$, $AP$と$x$軸のなす角を$\theta$とする。すると、$x=a\cos\theta$, $y=b\sin\theta$ となるから、たしかに$P$の軌跡は楕円である。

酒井孝一「整数論講義」(宝文館出版)

酒井孝一 整数論講義 宝文館出版

先日 Amazon のマーケット・プレイスで見つけて購入したのがこの本。少し前に神保町の明倫館で見つけて、かなり心を動かされたのだが、あまりな値段に少々ムッとして買わなかった。あこぎとは言わないが、あんまりだ(笑)。ぱっと見た段階で、自分が欲しいのはこういう本だと思ったのだけど。まあ、整理されたのを読むより、自分なりに整理して、こういう形にまとめるのが勉強としては良いかなとも、ちょっと思ったのも見送った一つの理由なんだけどね 😉 。

でも、マーケット・プレイスでまずまず許容できる値段で出ていたので、思わずポチッとクリックしてしまった(苦笑)。手にとって読んでみると、正にこういう本を求めていたのだ、と感じる。内容は高木貞治の「初等整数論講義」を現代風というか、まあ、ファン・デア・ヴェルデン風のモダーンな感じにしたもの。この程度に抽象的に書かれる方が、かえって分かりやすい。それに、具体例も多く、アルゴリズム的要素もきちんとあり、具体的な計算をどうすれば良いか、分かるように書いてある。ワタシに理解できるというか、受け入れ易いのは、このレベルだなあ、と思う。もっと抽象度が上がると、理解はできても、心理的に嫌な感じになる。同じ内容であっても、完全系列とか、群のコホモロジー(例えばヒルベルトのSatz 90) とか言われると、うーむ、勘弁してくれ(笑)という気持ち。記述も丁寧で嬉しい。序文に「高校生でも読み始められるようにとの意図をもって書いた」とあるが、確かにこれなら高校生でも読めると思う。というか、そのレベルでないと読めない我が身が情けないのではあるが。

惜しむらくは「種の理論」がない。まあ、指標系も心理的障壁を越えたから、こっちは、藤原松三郎などで補おうかな。(高木貞治の本では、類体論との関係で、さかさまに種の理論を展開している。平方類で割ったものを種と定義して、それが指標で定まることが最後の結論になっているのだが、この流儀はあまり好みではないので・・・。)

2次体のイデアルとオルドヌング


一つの本をじっくり読むことができないワタシ(苦笑)。いろんな本をハシゴしながら勉強中。ようやく、心理的にも様々な定義に納得が行く状態になりつつあり、ちょっと嬉しい。以下、いくつかメモ。

一つのポイントは、やはり整数の定義。単に、和と積について閉じているだけでは、理論を展開しているうちに、困った点が出てくる。例えば、環 $\mathbb{Z}[\sqrt{-3}]$ など。和と積について閉じてはいるが、ここでは素元分解の一意性が成立しない。ポイントは整閉 (Integrally Closed) でないこと。代数的整数を、モニックな多項式の零点と定義することの重大性がここにある。

デデキントのイデアルは結局のところ、クンマーの理想数を具現化したものに他ならなかった。クンマーの理想数は、数体系を拡張して実際の数として作ることはできないけれども、理想数の目的である素因子分解に着目すれば、イデアルが対応物になっている。後知恵ではあるが、因子 (Divisor) の理論が作られていて、(クンマーの理想数を念頭において) 公理的に因子が満たすべき要件をリストアップして調べていくと、結局、デデキントのイデアルと同値にならざる得ないことが結論付けられる。

デデキントのイデアル論は、抽象化されて、ワタシたちが学生の時に習ったような形態にまで進化した。抽象化への主たる貢献者はエミー・ネーター。デデキント環(デデキント整域)は、ネーター環のうち、整閉であり、(0以外の)すべての素イデアルが極大イデアルであるようなもの、と特徴付けられる。この定義は学生のときから知っていたが、その整数論的意義はあまり分かってなかったなあ。

2次形式との対応をつけるには、イデアルだけでは不十分。正確に言えば、2次体 $K=\mathbb{Q}(\sqrt{m})$ の極大整数環 $\cal{O}_K$ のイデアルだけでは不十分であり、その上のモジュール、デデキントの用語ではオルドヌング(Ordnung)、まで考える必要がある。

高木貞治「初等整数論講義」

初等整数論講義 第2版

有名な本であり、当然(?)持ってはいるのだが、神髄とも言うべき2次体の数論、及び付録をちゃんと読んだことはなかった。付録が圧巻であるとは良く言われるところ。今回、ある程度丁寧に読んで、なるほど〜と思った。2次体の整数の定義で何故にモニック(最高次の係数が1)なのか、クロネッカーの記号は準同型になるようにとるべしとか、他の本で不満に思っていたことが解消した。ちょっと表現とかが古めかしいが、良い本だな〜と実感。

Harvey Cohnの数論の本2冊

Advanced Number Theory

A Classical Invitation to Algebraic Numbers and Class Fields

このところ数論の本ばかりで、「出来ない科目ほど参考書が増える症候群」にかかっているワタシなのだが、この2冊は随分前に購入したもの。途中までというよりは、何となく斜め読みして終わってしまった。証明などをキチンとフォローしてないので、読んだとはとても言えない。最初の計画では、ガウスの2次形式のやり方で「種の理論」までやったあとに デデキントのイデアル論をやろうと思っていたのだが、御多分に漏れず、例の「2次形式の合成」あたりで難渋している。そこで、方針転換。2次体のイデアル論を復習しつつ、2次形式を絡めるという計画に変更。そう思って本棚をあさると、Harvey Cohn氏の2冊が正にぴったりの教科書であることに気づくのであった。

Advanced Number Theory は元々 A Second Course in Number Theory の名前でWileyから出版されていたものの、Doverリプリント。内容は2次体の数論。2次形式とからめながら2次形式のイデアル論を展開し、ディリクレの類数公式や2次体の種の理論あたりまでで終了。

A Classical Invitation to Algebraic Numbers and Class Fields の方は、前半は Advanced Number Theory と内容が重なるものの、2次体に限定せずに一般の代数体でのイデアル論。説明も、より抽象化されていて、(学校でこういうものを教わった者としては)逆に理解しやすい面もある :mrgreen: 。デデキント環がらみで、代数関数体やアーベルの定理なども出てくる。後半が所謂「類体論 (Class Field Theory)」なのだが、難しそう 😥 。このあたりは全然読めてない。「ウェーバー・高木対応 (Weber-Takagi correspondence)」やら「アルチン同型写像 (Artin isomorphism)」やら類体論の核心が説明されているようなのであった。何時になったら、このあたりが理解できるようになるんだろうか 🙁 。

2次体のイデアル論をあらためて


学生のとき、代数の初歩は一通り授業その他で学習したわけで、ガロア理論や可換環論の入門部分は漠然とではあるが知っている。当時、代数的数論の入門書もいくつか読もうと思ったのだが、何だかつまらなくて止めてしまった。今にして思えば、一般論ばかりが続き、一体どこが数論なのかと、つまらなくなったんだなあと得心が行く。特に日本の本に多いのであるが、歴史的発展の話や何のためにそういうことをするのかといった説明がなく、ひたすら一般論が続くという入門書が、当時は少なくなかった。2次形式の話、例えば、4で割ると1余る素数$p$が$p=x^2+y^2$と表されるというフェルマーの定理や、それを一般化した$x^2+Ny^2$の形で表される素数の話、こういった問題の為に、ラグランジュやガウスが2次形式の数論を研究したこと、それがあまりに大変であるため、ディリクレやデデキントによって簡易化が試みられたこと、とくにデデキントが導入したイデアル論が2次形式論、特に合成の理論、種の理論を著しく簡易化したこと、こういった事柄は何故か書かれていなかった。なんだかなあ、と今にして思うのであった。

ということで、あらためて、デデキントのイデアル論を勉強しよう。その後に発展したエミー・ネーター流の公理的可換環論ではなく、2次体という具体的な場合で。理論だけでなく、実例の計算もたくさんしよう。

ヘッケの本が届いたけど

Heckeの代数的数論講義(ドイツ語)の英訳本が届いた。嬉しいのだけど,印刷があまりきれいじゃなくて,ちょっとがっかり。再版してくれたのは嬉しいけど,これって,初版の本からの写真製版かな。それにしても,もう少しはきれいにできないものでしょうか,シュプリンガー書店さん。かすれて式が判読できない箇所すらあるのですが(怒)。ドイツ語版もっているから,それを見れば分かるんですけどね。これならDover Reprint の方が数段よかったなあ・・・。というか,Springer Verlag,金かけなさすぎだよ 👿 。

2次体の整数メモ


$\mathbb{Q}(\sqrt{-3})$の整数として,何故 $a+b\sqrt{-3}$ ($a$, $b$は有理整数) の全体を取ると,あまり上手く行かないのか。例えば,素元分解の一意性が成り立たない。
正しくは,$a+b\omega$ ($a$, $b$は有理整数) の全体とする。同じ事だが,$a+b\frac{1+\sqrt{-3}}{2}$ ($a$, $b$は有理整数) の全体。

理由。整数の資格があると思われる範囲で,出来るだけ広くとっておかねば上手くいかない。例えば,有理整数の範囲でも,部分環(または部分加群)として偶数の全体だけを考えると,素元分解の一意性が成り立たない。
\[ 36=6\times 6 = 2\times 18 \]
は,偶数だけからなる部分環では,異なる分解になる。もちろん,これは分解が不完全なのだが,そのためには奇数も考える必要がある。同じ理由で $a+b\sqrt{-3}$ だけでは整数として少なすぎるのである。

$\mathbb{Q}(\sqrt{-3})$の部分環 $A$ で,有理数体との共通部分が有理整数全体になるもの,つまり
\[ A \cap \mathbb{Q}=\mathbb{Z} \]
となるもので最大のものを考えると,それは $\mathbb{Z}[\omega]$ になる。こういう方向で考えると,代数的整数の定義(整数係数でモニックな多項式の零点になるもの)が自然なものとして受け入れられる。

クーラントの本、到着

在庫があるときのアマゾンは速い。Richard Courant著 Dirichlet’s Principle, Conformal Mapping, and Minimal Surfaces (ディリクレの原理、等角写像、極小曲面)がさっそく到着した。Doverリプリントなので値段も安価。送料も無料だし。アマゾン、不思議だよねえ、1500円以上だと送料無料なんだよねえと、かみさんに話しかけ、あわわわ、内緒で本買ったことばれる :mrgreen:

内容はまあまあ予想通り。クーラントらしく、動機や手法の説明をしながら話が進んでいるようだ。ディリクレの原理にしても、いくつかの証明が紹介されている。それぞれの証明法は、それぞれにいろんな歴史・背景・テクニックなどがあり、先を急がなければ楽しい。

この本の初版が出版されたのは1950年。戦争で出版が遅れたということだが、それを差し引いても、晩年の作品。リチャード・クーラント、1888年~1972年、だから60歳くらいってことだよね。素晴らしい。

クーラントの「ディリクレ原理・等角写像・極小曲面」

Dirichlet’s Principle, Conformal Mapping, And Minimal Surfaces

随分前に古書店で何度か手に取り、結局買わなかったのが、この本。その後、クーラントの伝記を読んで、御本人えらく入れ込んで書いたものであることを知った。ヒルベルトの指導の下で書いた学位論文が「ディリクレの原理」についてであり、それ以来、お気に入りの題材らしいのであった。そういえば、素人向けの本「数学とは何か」でも、プラトー問題や極小曲面についての解説があったなあ、と。

ということで、買おうかなあと思ったときには、とっくに入手不可になっていたのである。まあ、そんなものだよな。こういう経験を何度か経ると、「見つけたときに買え」という鉄則(かどうかは微妙だが)が骨身にしみるのであった。今日、たまたま他の本を探していたら、Doverからリプリントが出ていることを知り、さっそく注文した。真剣に読むかどうか。うーん、微妙かも。まあ、でも、クーラント節を楽しめると思う。定義・定理・証明というスタイルはお嫌い(?)らしいので、動機や目的などを述べつつ悠然と進む(かどうかまだ分からないが)クーラント節が楽しめるのではないかと期待。