数学

ガウスの複素整数


知ってるつもりでも、知らないことはいろいろあるなあ。
ディリクレ・デデキントの整数論講義を読んでいたら、ガウスの複素整数($a$, $b$を整数とするとき、$a+b\sqrt{-1}$と表される複素数のこと)を使って4n+1型の素数$p$が$p=a^2+b^2$と書けることのステキな証明が載っていた。普通は、平方剰余の第1補充則から、$a^2\equiv -1\ {\rm mod }p$を満たす有理整数$a$の存在を言って、これを用いて、$p$は$a^2+1$の約数で、・・・などとやるのだが、平方剰余の理論によらずとも、複素整数の一般論から次のように示されるのだという。

$p=4n+1$が複素整数の範囲でも素数になると仮定する。すると、方程式$x^{p-1}\equiv 1\ {\rm mod }p$ は高々$(p-1)$個の解しかもたないはず。これは mod $p$で割った剰余環が体になることからでる。さて、フェルマーの定理から、$1$, $2$, ・・・, $p-1$ は解である。おまけに、$p-1=4n$なので$x=\sqrt{-1}$までもが解。つまり、$p$個の解を持つことになってしまう。これは矛盾である。ということで、$p$は複素整数の範囲では素数ではない。そうすると、一般論により、$p=\pi \overline{\pi}$ と書けることが分かっているので、$p=a^2+b^2$と表されることになる。

いやあ、何とまあ、スマートな証明であることか。抽象代数学の勝利 :mrgreen: って感じでしょうか。

Heckeの代数的数論講義

Lectures on the Theory of Algebraic Numbers (Graduate Texts in Mathematics)

SpringerのGTM(Graduate Texts in Mathematics)シリーズで出ていた英訳は長らく絶版だったと思うのだが,検索してみると,何故か買える模様。うーむ,だいぶ前に買おうとしたときには入手不可だったのだが。ドイツ語の原書と英訳のコピーはもっているのだが,ここはやはり買っておくべきか。

ということで,注文しましたよ。ヘッケの名著 Vorlesungen über die Theorie der Algebraischen Zahlen (代数的数論講義)を。ホントに入手できるのかなあ。amazon,けっこういいかげんだから,ちょっと心配。

代数的数論の数式処理システム KANT/KASH

ドイツで開発されているKANTという数式処理システムをインストールしてみた。Mac OS X 用のバイナリーがあったので,それをダウンロードして解凍。基本的にUNIX用らしく,ターミナル上で動かす。久々にマウスと無縁の世界(笑)。

KANT/KASH

KANTというのがプログラム本体で,KASHはそのシェル。代数的数論に特化しているらしく,代数体のイデアルの計算などもできるようだ。対話式にも使えて,プログラムもできる。みかけのそっけなさに反して,とてつもなく高機能なプログラムのようである。うーむ,使えるかなあ・・・ 😥 。

Dicksonの数論入門書

Leonard Eugene Dickson : Introduction to the theory of numbers (Dover reprint, 1957)


火曜日にamazon.com(と言ってもマーケット・プレイスっていう中古部門?だけど)で注文した Dickson の本 Introduction to the theory of numbers (数論入門) が今日到着した。速達ってことだけど、まるで国内で注文したかのような速さ。いやあ、実は米国のAmazon.comに注文出すの初めてだったので、ちょっとおっかなびっくりだったのだけど、とってもスムースでびっくり。こっちの住所とかもローマ字で入力するから、向こうの人は別に日本語分からなくても、ただプリントアウトして貼るだけでOKってことなんだけど。

さてさて、さっそく読んでみる。読みたいのは2次形式の部分。何故に種(genus)なるものを考えるのか、動機が書いてあって嬉しい。ガウス流ではなくラグランジュ流に$ax^2+bxy+cy^2$という一般の形を取り扱っているのだが、2次形式の合成の部分では一部でガウス流に中央の係数が偶数の場合を考えていたりする。やっぱり、そっちが便利ってところもあるんだなあ。

それにしても、このDover版のリプリントが1957年だから、もう50年前の本なのである。それにしては、保存状態は良い。内容もグッド。ちょうど Hardy-Wright に書いてない部分(2次形式の数論)が書いてある。うん、満足じゃ :mrgreen:

ドイツ文字の筆記体

[ 備忘録 ] ドイツ文字の筆記体はどうやって書けば良いのかな~と思って検索したところ、おお、見本と書き方の説明があるページを発見。これは嬉しい。

何故にドイツ文字か、と言うと、数学でイデアルというものがあり、それを表すのにドイツ文字(フラクトゥール)を用いる習慣があるから。スクリプト体(?)で代用しても良いけど、ちょっと気分が違う。これから、Hecke(ヘッケ)の代数的数論の教科書をちょっと読もうかと思っているので、その準備(笑)として、ドイツ文字の練習なのであ~る。

個数に関する帰納法

ふと,次の定理の帰納法による証明は,所謂「個数に関する帰納法」のとても良い例ではないかと思った。


自然数$n$に対して,$1$から$n$までの自然数のうちで$n$と互いに素であるものの個数を$\varphi(n)$と表す。これは普通,オイラー(Euler)の関数と呼ばれる。さて,$n$を素因数分解して,
\[ n=p^aq^b\,\cdots\, r^c \]
と表したとき,$\varphi(n)$は
\[ \varphi(n)=n\Bigl(1-\frac{1}{p}\Bigr)\Bigl(1-\frac{1}{q}\Bigr)\,\cdots\,\Bigl(1-\frac{1}{r}\Bigr)\]
と表される。

もちろん,組合せ論で定番の包除原理でも証明できるし,数論的な証明もあるが,素因数の個数に関する帰納法による証明もすっきりしている。

Gaussの数論の現代的解説書

Introduction to Number Theory

以前途中まで読みながら,種の理論あたりで頓挫してしまったのが,この本。Daniel Flathがシンガポール大学で行った数論の講義を元にしたもの。改めてながめてみると,Gaussの数論(DA), Dirichlet-Dedekindの本をうまく現代版にしたという感じだ。行列表示や抽象代数(と言っても,群・環・モジュール・準同型といった初等的な概念だけだが)の言語が使えるので,見通しよくすっきりと記述できるわけだけど。それに,過度に抽象的にならず,2次形式はちゃんと2次形式として扱われているのも嬉しい。日本の数論の本だと,高木貞治以来の伝統なのか,2次体のイデアル論のおまけみたいに処理されているのが多いから。

ということで,今の仕事が片づいたら再チャレンジしよう。そう,今,仕事に追われているのです。日記書いてる場合じゃないのだけど,仕事したくないので,逃避行動なのだ〜 😉

Harold Davenport 著 Higher Arithmetic

The Higher Arithmetic: An Introduction to the Theory of Numbers

この所ずっと気になっていたのが,次の内容がどの本に書いてあったかということ。別にそんなこと気にすることでもないのだが。


2次形式の数論を扱う際には,二つの流儀がある。一つは$ax^2+2bxy+cy^2$と中央の係数を偶数にするもので,Gauss, Dirichletなど。もう一つは$ax^2+bxy+cy^2$と中央の係数は一般の整数とするもので,こっちはLagrange, Dedekindなど。この著名な数学者の名前からも分かるように,どちらも絶対的な優越性はない。ある件では片方の記法が便利で,別の件ではもう一方の記法が便利という具合なのである。

細かい差異はあろうが,大体こんな内容だった。どの本で読んだのかなあと,本棚からいろんな数論の本を取り出しては調べるのだが,これが見つからない。あーいらいらするなあ。悶々として(笑,ちょっと大げさだが)数週間を過ごした。

昨日,何気なく本棚を眺めていたら,Harold Davenportのこの本が目に入った。これは気楽に読める入門書で,2次形式も少しだけではあるが,動機付けと簡単な場合が記述してある。懐かしく思いつつ読んでいると,あ!見つけた。そうか,この本で読んだのかあ〜。すっかり忘れていた。でも,これでちょっとすっきり! :mrgreen:

フック公式@数セミ・バックナンバー

[ 備忘録 ] ヤング図形の標準盤の個数を与えるフック公式(Hook Formula)について。数学セミナーのバックナンバーに証明が載っていると、Ik氏に教わる。調べてみると、数学セミナーのバックナンバーにそれらしきものを発見。1983年の5月号からの連載で、「イーハトーブの数学講座・ヤング図形と遊ぼう」とあるのがそれに違いない。著者のグスコーホドリさんは、Ik氏によれば、実は岩堀長慶先生だという :mrgreen: 😯 。おお、そうだったのか~。