2次形式メモ(3)


2次形式の数論、少しだけ前進。判別式が同じ2次形式を正式同値によって類別して「類」(Class)を作り、さらにいくつかの類をまとめて「種」(Genus)を考える話。判別式を割り切る素因数をモジュラスとしての値を考えるのだが、素数2が例外的に難しい。どうしてそういう場合分けをするのか、なかなか納得できずにいろんな本を読む。最初からガウスを読めば良かったかどうかは微妙だが、ガウスを読んで納得できた。

ガウスについては、完全主義で足場を残さない為に、読者は苦労するようなことがよく言われる。しかし、この件についてはまったく違う。創始者ならではのモーティベーションが書かれていて、今風の教科書で疑問に思っていたことがバッチリ書いてあるのだ。

ガウスは中央の係数が偶数の形式$F=ax^2+2bxy+cy^2$を扱っていて、判別式の4分の1 $D=b^2-ac$ を determinant と呼んでいる。従ってつねに4倍の違いが生じるが、それはこの場合は大したことではない。以下、第229条から引用。

さらに、もし当面の目的のために必要であるとするなら、$F$によって表現可能な数は、$D$を割り切らない素数に対してはこのような一定の関係はもちえないこと、それどころかむしろ、$D$を割り切らない任意の素数については、その剰余も非剰余もどちらも形式$F$で表現されることを証明するのは容易である。
だがこれとは反対に、数4と8に関しては、他の場合にも [ すなわち4と8が$D$を割り切らない場合にも ] ある種の類似が成立する。これは看過するわけにはいかない。 (ガウス「整数論」第229条から)

このあと、$D$が2で何回割れるかで場合分けしていき、$F$で表される数が modulo $2^m$ でどうなるか調べていく。これは読むよりも自分であれこれ実験してみる方が楽しいし、どこがポイントなのかがよく分かる。modulo 8 で分類することになるのだが、modulo 8 での既約剰余類の成す群が出てくる。分類はこの群の商群に対応する形をとる。抽象的な代数の初歩を学んだ者にとっては、具体的事例で群論の初歩との関係が分かり楽しい。別の教科書だが、Daniel Flathの本に書いてあった「準同型(homomorphism)のような関係になっている」という意味も、良く理解できる。というか、やっと Flath の本の定義が理解できましたよ。

ということで、やっと一つ山を越えた感じ。

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