ステキなトポロジー入門書

Algebraic Topology: A First Course (Graduate Texts in Mathematics)

William Fultonと言えば、Benjaminから出ている代数曲線の入門書のイメージがあったので、代数的トポロジー?ふーん、というのが第一印象だった。邦訳を本屋で見かけた気もするが、スルーしてしまったような。

最近になって、原書の方を読む機会があって驚いた。代数的トポロジー(位相幾何)というと、三角形分割とか単体的ホモロジーとか、特異ホモロジーとか、CW複体とか、そんなイメージでいたのだが、この本は全然違う。低次元の具体的な場合を中心にして、微分形式や積分との関係、リーマン面や代数曲線、ドラム・コホモロジー、そんなことが次から次へと出てくるのだ。

著者によれば、これは歴史にも沿っているのだという。確かにガウスが複素積分を考えたときあたりから、道(パス)のホモトピーなどは始まったわけだが、それでも、第1章のタイトルが「線積分」というのはかなりインパクトがある。だって、代数的位相幾何の本ですよ。そのとっぱじめが積分なのだから。


ということで、ざっと目次を眺めてみる。第1部「平面上の微分積分」第1章 線積分。最初から微分形式の積分、閉形式($d\omega=0$)が完全形式($\omega=df$)になるか、とかと単連結性が関係してくる話。第2章 角度と変形 では、Winding数を積分で定義して(もちろん動機付けあり)、それが整数になること、そして、パスの持ち上げから被覆面(Covering surface)の話へ。第2部「Winding Number」は、いかにもトポロジーらしい話。第3部「コホモロジーとホモロジー」ホモロジーからでなく、コホモロジーから入る。しかも、ドラム・コホモロジーだ 😯 まあ、第1部からの流れではこうなるのだろう。とは言っても、0次元と1次元のみに限定みたいだから、抽象的でめげることはないだろう。言葉がちょっとばかり難しそうだってことを除けば。

このあと、Meyer-Vietorisの完全列やVan Kampenの定理、チェックのコホモロジーと、位相幾何らしくなる。何となく Bott-Tu の本をもっと易しくしたような感じ。とにかく2次元までなのが良い(笑)。

油断していると最後にリーマン面と代数曲線の話が来る。リーマンの双1次形式やヤコビアンとか、アーベル・ヤコビの定理とか。リーマン・ロッホの定理まであって、このあたりは完全に代数曲線論になってしまっている。

詳しく読まずにざっと眺めただけなのに、知ったふうに書いてしまった(汗)。これからちゃんと読んでみます 😉 。

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