中国テレビドラマ・三国志

昨日偶然にTOKYO MX テレビ で三国志のドラマをやっているのをみた。中国テレビの製作なのだが、これがなかなか楽しい。今日もやっていたので、あれっ?と思ったが、どうも火曜・水曜に放送しているらしい。

ちょうど、赤壁の戦い前夜という場面。諸葛亮が呉の孫権を訪ね、同盟をもちかけるあたり。実は登場人物をほとんど知らないので、にわか勉強。ホントは三国志までは手を広げたくない :mrgreen: ので、見ない・読まないことにしていたのだが。

しかし、餅は餅屋というが、やはり中国の歴史ドラマは中国製作に如かず、なのかも。衣装・大道具から日本とは違う。どこまで歴史考証とかしているかは分からないが。それに、諸葛亮孔明役の俳優さんが素晴らしい。眼光するどく、それでいて悠々たる雰囲気。ちょっと立派すぎるかもだが、正に孔明のイメージそのもの。シャーロック・ホームズ役のジェレミー・ブレットみたいに、決定版と言っても良いのではないか。

こうなると、史記の名場面、項羽と劉邦の話なども、テレビドラマで見てみたいなあと思う。やはり映像の力は大きいのだ。

晏子(あんし)君を諫む

漢文、細々とではありますが、続いています :mrgreen: 。文法はすっかり諦めて 😉 もっぱら短い文章の書き下し文を読んでいるだけなんですけどね。

岩波全書の「漢文入門」このところ、またこれに戻って、あちこち拾い読みしてます。最近のお気に入り(?)は、短文編の5番目「晏子諫君」です。出典は「説苑(ぜいえん)」という説教くさい(?)もとい、教訓的な話をまとめたもの。主人公は晏子(あんし)です。

晏嬰 – Wikipedia

君主の景公(けいこう)が、お気に入りの馬を死なせたしまった家臣を殺そうとするのですが、晏子がうまく諌めるという話です。圉人(ぎょじん、馬の世話をする係の役名のようです)は自分の罪を知らずに死んでいくので、自分がどんな罪を犯して死ぬのかを私が言い聞かせましょう、と景公に進言します。よし、やってみせい、というわけですが、その後が面白いのでした。

「お前は、殿の為に馬を養っていたのに、死なせてしまった。これは死に値するのだ。お前は殿に馬のことでお前を殺させるのだ。これは死に値するのだ。お前は殿に馬のことでお前を殺させ、それは近隣の諸侯に知れ渡るのだ。これは死に値する罪なのだ」

えー、適当訳ですが、大体こんな感じですかね。さすがに殿様の景公も、そこまでバカじゃないようで(実は相当のおバカさんらしいのですが :mrgreen: )、たまらず止めに入ります。

「先生、この男を許してやりなさい。先生、この男を許してやりなさい。わが仁徳を傷つけてはならんのじゃ」

原文は次の通りです。

景公有馬、其圉人殺之、公怒援戈、將自撃之、晏子曰、此不知其罪而死、臣請爲君數之、令知其罪而殺之、公曰、諾、晏子擧戈而臨之曰、汝爲吾君養馬而殺之、而罪當死、汝使吾君以馬之故殺圉人、而罪又當死、汝使吾君以馬故殺人、聞於四隣諸侯、汝罪又當死、公曰、夫子釋之、夫子釋之、勿傷我仁也、(『説苑』正諫 )

景公(けいこう)馬有り、其の圉人(ぎょじん)之を殺す(死なせるという意味)。公怒り戈(ほこ)をとりて、まさに自らこれを撃たんとす。
晏子(あんし)いわく、此(これ)その罪を知らずして死す、臣請う君の爲にこれをせめ、その罪を知らしめてこれを殺さん。
公いわく、『諾(だく、了承したという意味ですね)』と。
晏子戈(ほこ)をあげてこれに臨んでいわく、『汝(なんじ)わが君の為に馬を養いてこれを殺す、而(なんじ)の罪死にあたる。汝(なんじ)わが君をして馬を以ての故に圉人(ぎょじん)を殺さしむ、而(なんじ)の罪また死にあたる、汝(なんじ)わが君をして馬を以ての故に人を殺し、四隣(しりん)の諸侯に聞えしむ、汝の罪また死に當る』と。
公いわく、『夫子(ふうし)これを釋(ゆる)せ、夫子これをゆるせ、わが仁を傷つくること勿(な)かれ』と。

高校教科書の漢文本文データ集

偶然に良いページを発見。メモしとかなきゃ 😉 。

全国漢文教育学会(教科書本文データ集)

高校の教科書に載っている漢文の本文データが集めてある。さすがに教科書を買う気にはなれなかったのだが,実は教科書に採用されている漢文はなかなか良い。そりゃそうだ。その道の専門家たちが初心者向けに選りすぐった文章のはずだから。多分ね 😉 。でも,書き下し文ないと読めないワタシとしては,教科書を買うのをためらってしまう。今更しゃくだというのもあるが(苦笑)。

ということで,このサイトはありがたい。教科書に載っている部分はほんの一部だったりするが,前後の文章も合わせて収録されていて嬉しいね。

淮南子と白水社

淮南子(えなんじ)がらみでいろいろ調べていたら,偶然に次のページに行き着いた。

版元のお仕事:仕事に関する雑記録

どうやら白水社の話らしい。「白水」という言葉は淮南子から取った由。読んでみると漢籍研究の一端が垣間見えて面白い。現存する淮南子のテキストには白水という単語がないらしく,該当箇所は「是れを丹水と謂ふ、之を飲めば死なず」になっているらしい。そこに,丹水という語はもともとは白水であったという注釈が付いていて,それで正しい本文が分かるんだそうだ。いろんな引用とかを調べて,テキストに修正・補足などを行う「注釈」がこの分野での主要な研究成果のようである。

白水社の由来だけでなく,へえっと思うような面白い話。偶然とはいえ,良いことを知った。いま読んでいる金谷治「淮南子の思想」にも,いろんなテキストを付き合わせて定本を作るという話があった。なるほどねえ。

TeXで漢文組版するためのメモ

TeXで漢文を組版する準備としてメモ。現時点では,JIS第2水準(多分)に収まらない漢字はユニコードの16進表示で \UTF{****} などと入力しないとTeXが処理できない。ユニコードに対応したpTeXの拡張版も試作されているみたいではあるが。

また,訓読のために,一つ一つの漢字に対して \Kundoku{漢字}{振り仮名}{送り仮名}{返り点}{なんかかんか} というマクロを書くのも手間である。これらを一括して処理したい。マクロは何とかなると思うが,問題はUnicode表示の部分。次のページで配布されているPerlスクリプトが参考になると思うのでメモ。

kcode – 各種文字コードを表示する

適当な関数が分かれば全体は難しくない。

while (まだファイルが終わってない) do
begin
 1文字読み込む。
 if (それが第2水準までにある) then 
    「\Kundoku{漢字}{}{}{}{}{}」 みたいに出力。
 else
 begin
    漢字に対するユニコード(UTF8)を調べて16進に変換。
    「\Kundoku{\UTF{****}}{}{}{}{}{} %元の漢字をコメント」みたいに出力。
 end
end

徳間文庫版「史記」

司馬遷「史記」(徳間文庫版)

徳間文庫から司馬遷の史記が出ている。編年体の要素を取り入れ、おおよそ時代順に配列されている。訳文もこなれていて読みやすいし、原文(白文)と訓読の書き下し文が付いているのもグッド。やはり原文を訓読しないと漢文読んでるという気分にならないし。さらに、必要に応じて補足説明があるが、簡にして要を得ている。訳者たちが目指したのは「読める古典」ということだが、すばらしい仕事だと思う。

第4巻の項羽・劉邦を一通り読んだので、いま第1巻をところどころ拾い読み。岩波全書の漢文入門でたびたび登場する「楚の荘王」は春秋時代だったんだね。なかなかの名君だったようだ。「鳴かず飛ばず」や「鼎(かなえ)の軽重を問う」などの逸話が面白い。

史記・淮陰侯列伝

淮陰侯(わいいんこう)とは誰のことかと思ったら、「股くぐり」で有名な韓信のことだった。淮陰侯列伝は、その韓信の伝記。日本語訳を中心に、ところどころ書き下し文や原文も参照しつつ、ざっと目を通した。項羽・劉邦に次ぐ実力の持ち主でありながら、最後は劉邦(=漢王、漢の高祖)に謀反を起こして滅びてしまう。韓信にも責任はあるのだろうが、天下を平定した後の劉邦の猜疑心が主たる要因のようでもある。韓信に限らず、劉邦の有力な部下達の多くは反乱の疑いを掛けられて滅んでいくのであるから。

韓信は最初項羽に仕えたが、認められず、劉邦の下に来る。ここでもなかなか認められないのだが、彼の力を見抜いた蕭何(しょうか)に推挙され、漢の将軍となり本来の実力を発揮する。いくさ上手の逸話の一つに「背水の陣」がある。この言葉、今でも良く使われるが、淮陰侯列伝が起源らしいのである。寄せ集めの軍隊をまかされた韓信は、川を背後にするという通常では不利とされる陣形をとり、兵に逃げる余地を与えず、死に物狂いに戦うしかないという状況を作る。結果として勝利を収めるのであるが、これから背水の陣という言葉が生まれた由。

伝記の最後に著者の司馬遷自身による言葉があるのだが、なかなか手厳しい。曰く、韓信が道理を学び、おごらず、自分の手柄を自慢しなければ、子々孫々まで大切にされたであろう。天下が治まったのちに謀反を企てたのでは一族もろとも滅ぼされても当然ではないか、と。まあ、史記は漢王室のオフィシャルですからね、一応。

学びて思わざれば

論語の有名な一節だが、うろ覚えの上、どうやら間違えて覚えていたらしい。「学びて思わざれば、すなわち、・・・、思ひて学ばざれば、すなわち、・・・」なのであるが、「・・・」の部分を入れ違えていたような(恥)。

子曰、「学而不思則罔、思而不学則殆。」

ということで、正しく覚えておこう。「子曰く、学びて思わざれば、すなわち罔(くら)し、思ひて学ばざれば、すなわち殆(あやう)し。」

つらつら考えるに、学ぶだけで自分で考えなければ、それは「殆(あやう)し」の方じゃなかろうか、と勝手に思っていたようだ。うーん、逆でも意味が通るように感じるのはワタシだけだろうか。それにしても、かなりの期間勘違いしていたようで、かなりショック。

小川環樹、西田太一郎 共著「漢文入門」

「漢文入門」(岩波全書)

いまさら高校生が使うような参考書は買いたくない 😉 ので、岩波全書の「漢文入門」というのを見つけて買ってきた。字が少々小さいのが難点であるが、内容は素晴らしい。第一部「序説」で簡単に文法・構文などを説明したあと、第二部「短文篇」で、短い文章を読みながら文法・語法の解説を行うというスタイル。今は、この「短文篇」を読んでいるのだが、内容も面白く、この位の長さなら何とかギブアップせずに読めるかなあという感じ。もっとも、段々と長く、難しくなっていくみたいだから、いつまで続くかやや疑問だが。

このあと第三部「各體篇」というのが控えていて、いろいろな文章を全文読むことになっている。ちょっとここまでは無理かなあという気がするが、まあ、ぼちぼちやって行きましょう。

漢文の組版

漢文名作選4「文章」170頁 (大修館書店)

LaTeXで漢文を組むためのスタイルは、既存のもので満足できるものがそろってはいるが、大修館書店の「漢文名作選」のシリーズを見て、組版の美しさにちょっと感動。

感動とはおおげさでなのだが、大きめの活字で縦横両方向の升目にぴったり収まる組版になっている。これを実現しているマクロ集はまだないと思う。

実現方法はおぼろげながら分かる。長さが一定のボックスに漢字と送りがな、そして返り点などを付随させ、あとはそれを積み重ねればいいだろう。送りがなが長いと二段に分割してあるなど、難しい点もある。やり方は理屈では分かるのだが、送りがなの位置など、微妙な点もある。暇を見つけてマクロを作ってみたい。