数学

数論再開決意表明

いや,わざわざ宣言するほどのことではないが,よくあるダイエット宣言とか,禁煙宣言と同じってことで 😉 。

  • 2次形式の数論(内容的には2次体の数論ということだが)の「種の理論」までをもう一度おさらい&自分なりに整理・理解すること。参考書が多すぎるのが贅沢な悩み。メインはDirichlet-Dedekindかなあ。
    • ディリクレ&デデキント「整数論講義」(ディリクレの講義を基にデデキントが記述,拡充したもの)
    • Daniel Flath : Number Theory (Gaussの整数論を現代的な視点で解説したもの)
    • Mathews : Number Theory (Gauss, Dirchlet-Dedekindを平易に解説したもの)

    とりあえず,上記をメインに読んでいき,必要に応じて,Harvey Cohnの2冊,藤原松三郎「代数学」あたりを参考にしようかと思う。あ,もちろん,Gaussと高木貞治は言うまでもないが。

  • David Cox著「x^2+Ny^2の形の素数」

    Primes of the Form X2 + Ny2: Fermat, Class Field Theory, and Complex Multiplication (Pure and Applied Mathematics (Wiley))


    途中でほったらかしにしていた David Cox著の Primes of the form $x^2+Ny^2$ を引っ張り出して少し読んでみた。うーむ,やはり頑張って最後まで読んでみたいなあという気になる。

    大きく分けて3部構成なのだが,第1部をなんとか理解したという所で前回は挫折というか中断。それでも新たな発見があって嬉しかった。2次形式の種(genus)の理論はガウスのDA(数論研究)の中でもなかなかの難関なのだが,指標系ではなくて2次形式の表す整数の剰余類で類別できるというのは,普通の数論の本には書いてない話。Coxによれば,Gaussの先駆者であるLagrangeの仕事の中にその萌芽が見られるらしいのだが。ともかく,このあたりをもう一度おさらいしなくては。

    Notices of the AMS

    ヤング図形、特にフック公式に関する文献を検索していたら、Notices of AMSの2007年2月号に行き着いた。

    Notices of the American Mathematical Society : 2007年2月号

    検索で引っ掛かったのは、Alexander Yongという人の What is … Young Tableau? という、わずか2ページの紹介記事なのだが、目次に戻ってみると、佐藤幹夫さんのインタビューが載っている。Schapiraによる佐藤先生の仕事の紹介記事もある。へえ〜と思って、いろいろ見ていると、楽しい記事が目白押しだ。

    ネットで読める最新号は2008年1月号だが、Your Hit Parade と題して、ラマヌジャンの失われたノートブック(Lost Notebook)中で、最も魅力的な10個の公式をAndrewsとBerndtの二人が選んでいる。モック・テータ関数が第1位かと思ったら、そうではなかった。それは2位であり、第1位は分割数のランクとあった。初耳なので、なんだろうと読んでみると、ラマヌジャンの分割数についての合同式の証明に関するもので、Dysonの予想(AtkinとSwinnerton-Dyerが力業で証明したとある)が自然に導かれる等式が、既にLost Notebookの中に書いてあったという話。いやはや、溜息ですねえ。

    フック公式

    群の表現論とか不勉強で知らなかったのだが、ヤング図形の標準盤の個数を与えるフック公式(Hook Formula, Hook-length Formula)なるものがあるらしい。有名らしく、今まで知らなかったのはまことにうかつなのであった。

    しかし、こんな一般の設定での組合せの数の公式があるとは意外というか驚きだ。特別な場合として、2×n のサイズのヤング図形を考えると、この標準盤の個数は一対一の対応によって、いわゆるカタラン数になる。カタラン数の公式ですら自明ではなく、かなりの工夫を要するわけだが、これを遙かに拡張した一般のヤング図形の標準盤の個数が、かくも簡単に求められるとは!

    ところで証明であるが、これが存外というか、やはりというか、簡単ではないようだ。いくつか証明法が知られているらしく、帰納法によるもの、確率的論法によるもの、組合せ的議論によるもの、等々があるという話。ちょっと時間を見つけて証明にトライしてみたい。

    妥協

    楕円積分の逆関数として楕円関数を導入しようとすると、基礎の部分、例えば逆関数が実際に一価の関数として定まることなどの証明が存外難しい。ということで、妥協策。

    とりあえず、母数$k$が 0と1の間にある実数の場合に楕円積分
    \[ \int_0^x \frac{dx}{\sqrt{(1-x^2)(1-k^2x^2)}} \]
    の逆関数としてヤコビの楕円関数$\mathrm{sn}(z)$を導入する。
    そうすると、シュワルツによって上半平面がこの楕円積分によって長方形に等角写像されるから、鏡像の原理も使えば、逆関数の一価性と周期性、さらに2位の楕円関数であることが言える。

    こうして、しばらくは$k$を実数として理論を展開しておいて、テータ関数まで話を進めて、そこで一般に$k$を複素数にすれば、一般の楕円関数に拡張することができる。確かに迂回作戦であり、せこい気もするが、考えてみれば三角関数や指数関数だって最初は実数で定義され、テイラー展開まで進んできてから複素数の関数として定義し直されするわけだから、これだって似たようなものだとは言える。いや、ちょっとは不満なんだけど 😉 。

    楕円関数の話(2)


    レムニスケートの積分 $\int \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}}$ のように,3次式,4次式の平方根を含む積分は,
    総称して楕円積分と呼ばれる。
    楕円の弧長がこのタイプの積分になることが名前の由来であるが,それ以外に楕円との関係は特にない。
    楕円に特有の積分というわけでもないから,実はあまり良くない名称とも言える。
    それはともかく,この楕円積分,良く知られた初等関数(有理関数,三角関数,指数関数,対数関数,などなど)では表せない。
    これに対して,2次式の平方根を含む積分は初等関数で表すことができる。例えば,
    \[ \int_{0}^{x} \frac{dx}{\sqrt{x^2+1}}=\log(x+\sqrt{x^2+1}), \qquad
    \int_{0}^{x} \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}=\arcsin x \]
    である。
    2番目の積分はレムニスケートの積分と形が似ているが,これが一つのポイントとなる。

    さて,レムニスケート積分に関して,
    \[ \int_{0}^{r} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}}=2\int_{0}^{u} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \]
    のとき
    \[ r=\frac{2u\sqrt{1-u^4}}{1+u^4} \]
    が成り立つというFagnanoの発見に戻る。
    これが倍角公式であることを理解するには,三角関数とのアナロジーを考えると良い。
    $\int_{0}^{x} \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}=\arcsin x$
    が正弦関数の逆関数であることから,
    \[ a=\int_{0}^{r}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}, \qquad b=\int_{0}^{u}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}} \]
    とおくと,$r=\sin a$, $u=\sin b$ である。
    \[ \int_{0}^{r}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}=2\int_{0}^{u}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}} \]
    のときは,$a=2b$ となるから,
    \[ r=\sin a=\sin 2b=2\sin b\cos b=2u\sqrt{1-u^2} \]
    となる。

    以上から,
    \[ \int_{0}^{r}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}=2\int_{0}^{u}\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}} \]
    のときには
    \[ r=2u\sqrt{1-u^2} \]
    が成り立つが,この事実は正弦関数についての倍角公式と同じ内容であることが分かる。

    楕円関数の話(1)


    メモを兼ねて,楕円関数の話を少しずつ。

    Jacobi(ヤコビ)によれば,楕円関数の誕生日は1751年12月23日だという。
    この日,Euler(オイラー)はベルリン学士院から送られてきたFagnano(ファニャーノ)の論文集を読むのだが,
    これに触発されて楕円積分に関するEulerの研究がスタートすることになる。

    Fagnanoの研究はレムニスケートの弧長に関するものであった。
    レムニスケート
    \[ (x^2+y^2)^2=x^2-y^2 \]
    の第1象限の部分に点Pをとり,原点OからPまでの弧長を$s$とし,
    線分OPの長さを$r$とする。すると,
    \[ s=\int_{0}^{r} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \]
    という関係式が成り立つ。
    さてFagnanoは1718年に次の事実を発見する。弧OPの長さが弧OQの長さの2倍になるような点Qをとり,線分OQの長さを$u$とする。
    弧長が2倍であるということから,
    \[ \int_{0}^{r} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}}=2\int_{0}^{u} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} \]
    となるが,このとき,$r$と$u$の間に,
    \[ r=\frac{2u\sqrt{1-u^4}}{1+u^4} \]
    なる関係式が成り立つのである。
    今の目で見ると,これは楕円関数の倍角公式を与えているのであるが,
    当時の人にそれが分かるはずもなく,
    Eulerがその重要性に気付くまで特に注目されずにいたようなのであった。

    組合せの数、メモ

    大晦日に何をやっているんだ(苦笑)、ということだが、ふと思いついたので忘れないうちにメモ。いやなに、簡単な話なんだが。

    変数の個数は幾つでもいいのだが、簡単の為に3個とする。$x$, $y$, $z$ は正の整数とし、$x+y+z=n$ を満たすとする。$n$も正の整数。このような組$(x,y,z)$の個数を求めたい。普通は次のようにすると思う。
    例えば、$(x,y,z)=(2,3,4)$ならば、これを
     ○○|○○○|○○○○
    と対応させる。よって、○印を一列に$n$個並べておいて、$(n-1)$個の隙間から2個区切り場所を選べばよい。従って、求める個数は $_{n-1}\mathrm{C}_2$ となる。

    これと本質的には同じだと思うが、次のような表現もあるなあ、と思った。$a=x$, $b=x+y$, $c=x+y+z$とおけば,条件は\[ 1\leq a < b < c = n \]となる。$(x,y,z)$と$(a,b,c)$は1対1に対応するから、$1$から$(n-1)$までの$(n-1)$個の整数から $a$ と $b$ という異なる2個を選べばよい。 この方法を用いると、条件が不等式 $x+y+z\leq n$ になっても全く同様に解ける。 \[ 1 \leq a < b < c \leq n \] となるから、$1$から$n$までの$n$個から3個の異なる整数 $a$, $b$, $c$ を選べばよい。 書きながら、あれ?これって、以前にも考えたことがあるような気が。うーん、まったく同じではないにしても、ほとんど似た話みたいなものは、他にもあったようにも思う。まあ、いいや。

    何故に3冊も?

    何故かSiegelの第1巻が3冊も

    徐々にペースが落ちてきたが、部屋の整理続行中。それと平行して本棚も少しずつ整理しているのだが、驚愕の事実が発覚。何故か Siegel (ジーゲル) の Topics in complex function theory 3巻本の第1巻のみが3冊もあるのだ 😯 🙁 orz…

    いや、2冊あるのは知っていた。注文中に本屋で見かけて我慢できずに購入したのだ。早く読みたかったから、それはそれで良い。しかし3冊目は謎。

    ちなみに、第2巻のみがオリジナルのハードバウンドで、第1巻と第3巻はリプリントのペーパーバウンド。多分第2巻を買ったときには、他の巻は絶版だったのだと思う。

    ジーゲルの本はどれも素晴らしいのだが(と言っても、ちゃんと読んだ本はそんなにはないのだが)、なんでも自分が理解できない言語への翻訳を拒んでいるらしく(と以前誰かから聞いたのだが)、日本語訳は一冊も出版されていない。残念なことである。

    p進解析


    $p$進数($p$進法ではなく、有理数を$p$進距離で完備化したもの)が現在の数論では重要らしいとは聞いていたが、これは正に$p$進解析というか、解析的数論の$p$進版であるな、と、ボレビッチ・シャファレビッチ「整数論」の下巻を眺めながら思った。Thue(トゥーエ)の定理のSkolemによる証明の概要を、$x^3+dy^3=c$ を例にして説明してあるのだが、この不定方程式が有限個の解しかもたないことを示すためにSkolemが用いた方法が素晴らしい。

    $p$進体の中で方程式を考えるのは、まあ普通(?)だ。$\sqrt[3]{d}$を添加した3次体を$p$進数に埋め込むまでは分かる。その方程式を$p$進数の世界での解析関数とみなすのだという。$p$進数体はコンパクトであるから、もし無限個の解を持てば、零点が集積点を持つことになるから、くだんの解析関数は恒等的にゼロでなければならない。ひょえ〜、てなもんである。これは面白そうだ。